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vol.993

7月下旬の日本海と道東・三陸海域の記録的な高水温

7月下旬の海況概要

・海面水温は日本海全域で近年(2011〜2020年)より高めであった。特に大和堆付近から北は広範囲で6℃以上近年より高めで、大和堆付近では28℃台も実測された。
・大和堆付近(図1-@)の近年偏差(図2)は、2021年に入り高い状態が続き、7月下旬は一気に上昇し、直近10年では最も高かった。
・日本海の高水温は、対馬暖流の勢力が平年(1993〜2017年)より強いことに加え、梅雨明け後に好天が続いたためと考えられる。
・太平洋では黒潮以北で海面水温が近年より高く、特に道東沖や三陸沿岸では4〜6℃高い海域もあった。対照的に黒潮以南は南西諸島付近を中心におおむね低めあった。
・道東(図1-A)の近年偏差(図2)は7月下旬に一気に上がり、直近10年の最高値に近かった。
・黒潮以南の負偏差の原因は台風6号と台風8号の影響、黒潮以北の正偏差の原因は、親潮が平年より弱いことに加え、黒潮続流からの暖水波及および梅雨明け後に好天が続いたためと考えられる。
・日本海の大和堆以北は、ごく表層のみ高温になっているため、今後の台風や低気圧の通過等により大きく降温する可能性もある。
・太平洋側では三陸沖や道東沖には下層まで達する暖水塊があり、今後も水温は近年より高い状態は続くと思われる。
・この高水温状態は、日本海のスルメイカ、三陸沖のカツオ、道東のマイワシ、これから始まるサンマ等の漁業に大きく影響すると考えられ、今後の推移に注意が必要である。

   (海洋事業部)
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