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vol.990

令和3年6月のスルメイカ漁況について

1.全国主要港の生鮮スルメイカの水揚量

 主要港における生鮮スルメイカの6月の水揚量は1,400トンで、5月の600トンから2倍以上に増加した。しかし、近年最多であった2010年6月の1.1万トンの1割強、2010〜2020年の6月平均の4,200トンの1/3と、引き続き低調であった。
 2021年上半期(1〜6月)の水揚量は、3,600トンで、近年最多の2010年の1.9万トンの1/6しかなかった。2010年以降で最低だったのは2018年の4,700トンで、2021年はこれを23%も下回った。今後も低調な漁況が続くと、今期の生鮮スルメイカの水揚量は、過去最低であった2018年の年間2.5万トンを下回る可能性が高い。

2.浜田港の生鮮スルメイカとケンサキイカの水揚げ状況

 浜田港(山陰)における生鮮スルメイカの2021年上半期の水揚量は201トン(3月79トン、4月39トン、5月27トン)で前年並みであったが、2010〜2016年同期の400〜800トンと比べ1/3〜1/4に減少した。2010〜2015年は2月が盛漁期であったが、2016年以降は盛漁期が3月にずれ込み、水揚量も減少傾向にある。一方、ケンサキイカは、2021年上半期の水揚量が376トン(図4)と、2017〜2020年同期の2倍以上であり、底曳網漁業主体に好調であった。特に3月のケンサキイカの水揚量は116トンで過去最多であった。その後は、4月100トン、5月73トン、6月26トンと減少傾向にある。浜田のケンサキイカの盛漁期は9〜10月の秋季であるが、今季は3〜4月の春季に好漁がみられた。2019〜2020年の、9〜10月の秋季漁は不漁であったが、2010〜2018年のように秋季の漁獲が再度まとまるか、今年の秋季漁が注目される。

3.金沢港の生鮮スルメイカの水揚げ状況

 今年5月中旬〜7月上旬の日本海の小型いか釣り船によるスルメイカの主漁場は能登半島沿岸(越前〜輪島)のみに形成された。
 2020年は近年最多の6千トンが水揚げされ、その半分が6月に水揚げされた。今年6月の水揚量は1千トンと前年6月の1/3、2010〜2020年6月の平均(1.3千トン)の3割減であった。

4.新潟の生鮮スルメイカの水揚げ状況

 新潟港では、2000〜2020年に年間200〜3,300トン、平均1,500トンの水揚量があった。今年6月の水揚量は78トンで、1〜6月の累計水揚量も94トンと2000年以降最低であった。7月中旬には入港船が1日10隻を超え、水揚箱数も2千箱に届き、25尾入サイズもようやく混じり、北陸以北でも好転の兆しがでてきた。

5.中型いか釣り船(冷凍船)の動向

 中型いか釣り船は小木から6月6日に8隻が、函館から6月11日に3隻が、大和堆にスルメイカ漁に出漁した。中国等の外国漁船は見られかったものの、スルメイカの群が見つからず、山口県見島沖でケンサキイカ漁を行った。燃料補給の関係で一度入港し、6月末から大和堆での操業が続いている。7月7日現在16隻が操業中で、6月末からの平均で1隻1夜当たり50〜100箱(400〜800kg)と大不漁だった2019年同期並みの低調な漁獲である。
 中型船の冷凍スルメイカの水揚量は2013年までは3万トン台、2014〜2016年は2万トン台、2017〜2018年は1万トン台に減少した。2019年は3,600トンに激減したものの、2020年は5,300トンとやや盛り返した。今期の太平洋のアカイカ漁は、6月上旬にまとまった漁があったものの、中旬にはペースが落ち、6月末に再びまとまった。このため、昨年実績7.2千トンの1〜2割の減産になる見込み。アルゼンチンマツイカやペルー沖のアメリカオオアカイカの豊漁が伝えられ、冷凍スルメイカ・アカイカとも価格の面でも苦戦が予想される。

6.函館水試と釧路水試の調査結果等

 函館水試によるの日本海スルメイカ漁場一斉調査結果では、「スルメイカの分布密度は非常に低く、昨年及び過去5年平均を下回った」「スルメイカのサイズは昨年と同程度で、過去5年平均より小型」とされた。
 釧路水試による道東沖の6月中旬の調査結果も日本海同様に「例年より分布密度が低かった」とされ、いか釣り機では釣れない稚イカの群を確認した程度であった。
 日本海の小型いか釣り船による漁獲は、7月になると道北の羽幌や小樽管内・桧山管内で水揚げが始まったほか、山形〜新潟でも水揚げが徐々に増え始め、1箱20尾、25尾の大きいサイズも漁獲され始めている。一方、太平洋側でも岩手〜青森では昼イカ釣り漁も始まっており、25〜30尾入やバラ主体ながら20尾入も混じり始め、こちらも徐々に水揚量が増えている。例年7月後半以降には八戸沖のさばまき網にスルメイカが混獲されはじめる(TACは3,500トン)が、サバの漁獲も低調なことから、今期は期待できないかもしれない。休漁期間に入った沖底(TAC1.1万トン)による漁獲は9月に再開されるが、その頃にはスルメイカが成長することから、釣りも含め、漁模様の好転が期待される。

   (水産情報部)
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