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vol.985

6月の漁況・市況と7月の見通し

まいわし

 まいわしは、まき網では常磐沖〜房総半島沖及び山陰で漁獲された。常磐沖〜房総半島沖では、1日あたり1千〜5千トンのまとまった漁獲が続き、銚子主体に水揚げされた。魚体は50〜70gの中羽主体に80〜90gの大中型魚、120〜130gの大羽が混じった。粗脂肪量(千葉県水産研究センター測定)は10〜20%と前月から倍増し、旬の入梅いわしの時期を迎えた。山陰沖では中小型まき網による漁獲があり、境港主体に水揚げされた。6月上旬には、1日あたり1千トンを超える水揚げが2日間見られ、魚体は65〜90gの中羽主体であった。三陸では定置網での漁獲があり、18〜32gの小羽主体であった。また、道東ではさけます流し網漁業の代替のまいわし棒受網漁が行われ、道東一帯で1日あたり200〜300トンの水揚が見られた。
 6月上中旬の主要港における水揚量(以下「6月上中旬の水揚量」という。)は4万5千トンで、前月から25%増加し、前年同月の2倍であった。価格は49円/kgで、前月の21%高、前年同月並みであった。
 消費地(東京)におけるまいわしの入荷先は、千葉主体に北海道・宮城・鳥取等からであった。6月上中旬の入荷量は前月から59%増加し、前年同月から27%減少した。価格は前月の19%安、前年同月の8%安であった。
 各地で引き続き好調な水揚げが続くと予想され、今後、東京への入荷量は横ばい、卸売価格は横ばいと見込まれます。

さば類

 さば類は、まき網では静岡〜三重沖、山陰沖、対馬沖・西沖(五島沖)・東シナ海中南部で漁獲されたものの、端境期を迎え、各地低調な漁模様であった。東シナ海のまき網による漁獲は、まあじにまさばのローソク(極小サイズ)が混じる程度であった。伊豆諸島水域ではタモすくい網漁が引き続き行われたものの、漁期終盤を迎え、低調な漁獲であった。一方、三陸では定置網、底曳き網による漁獲が見られた。定置網のさば類は、150〜500gのまさば主体に300〜400gのごまさば混じりで、6月中旬には水温上昇に伴いごまさばの割合が増加した。底びき網のまさばは150〜250g主体であった。
 6月上中旬の水揚量は4千600トンで、前月から半減し、前年同月から33%減少した。価格は99円/kgで、前月の7%高、前年同月の29%高であった。
 消費地(東京)におけるさばの入荷先は、千葉・静岡主体に岩手・宮城・石川・長崎等からであった。6月上中旬の入荷量は前月から11%増加し、前年同月から11%減少した。価格は前月並み、前年同月の6%安であった。
 今後、まき網漁は低調な状態が続くと予想され、東京への入荷量は横ばい、卸売価格は横ばいと見込まれます。

するめいか

 小型いか釣り漁船によるするめいか漁は、日本海の北海道南〜北陸〜山陰〜九州北部の広範囲に漁場が形成された。主漁場は能登半島沖で、金沢では1日あたり100隻前後が2千500箱〜7千箱を水揚げし、1万箱を超えた日も1日見られたものの、前年の100隻以上・2万箱と比べると低調な漁模様が続いた。サイズは20尾入が数%、25尾入が20%、30尾入が50%、バラ入が30%と小型サイズが大半を占めた。6月に入ると道南(桧山、松前、函館)でも水揚げが始まったものの、小型サイズがさらに多く、漁獲は低調であった。また、三陸の定置網や底曳網でも50g前後の小型サイズ主体の水揚げが見られた。6月上旬には中型いか釣り船(船凍)による日本海のするめいか漁が始まったものの、例年初漁期の主漁場となる大和堆ではするめいかの漁獲がほとんどなかった。
 6月上中旬の生鮮するめいかの水揚量は、870トンで前月の4.4倍、前年同月から69%減少した。価格は618円/kgで、前月の26%安、前年同月の37高であった。
 消費地(東京)におけるするめいかの入荷は、釣り物は石川主体に福井、青森、新潟等、活物は静岡・三重から入荷がみられた。6月上中旬の生鮮するめいかの入荷量は前月の3倍、前年同月から半減した。価格は前月の28%安、前年同月の52%高であった。
 今後も、道南〜北陸の水揚げは低調で推移するとみられるものの、三陸〜道東等の太平洋側の漁期が始まることから、東京への入荷量はやや増加し、小型サイズが主体であることから卸売価格はやや弱含みとなると見込まれます。

まあじ

 まあじまき網漁は、対馬沖・西沖(五島沖)・東シナ海中南部及び山陰沖等に漁場が形成された。大中型まき網船はかつおまぐろ漁を行う船が多く、まあじ漁を行ったのは、東シナ海の大中型まき網と山陰の中小型まき網の一部で、各地全般的に低調であった。東シナ海は中小あじ主体、山陰沖はまいわし主体にまあじ(小あじ)混じりの漁獲であった。
 6月上中旬の水揚量は3千200トンで、前月から38%減少し、前年同月から27%減少した。価格は209円/kgで、前月の43%高、前年同月並みであった。
 消費地(東京)におけるまあじの入荷先は、中アジは長崎主体に石川・佐賀等、中小アジは長崎・新潟等、小・豆アジは三重・石川・富山・京都等からであった。6月上中旬の入荷量は前月から16%増加し、前年同月から33%増加した。価格は前月の13%安、前年同月の31%安であった。
 盛漁期を迎えたものの、水揚げが低調なことから、東京への入荷量は横ばい、卸売価格はやや強含むと見込まれます。

かつお

 かつお一本釣り船の主漁場は、八丈島〜常磐沖に形成され、びんなが主体にかつお混じりの漁獲が見られた。1日1隻あたりの漁獲量は6.3〜8トンであった。かつお主体の漁場は沿岸寄りで近く、新口(前日物)の割合が多く、サイズは小(1kg台)・中(2kg台)主体であった。一方、かつお・まぐろまき網漁は、房総沖〜常磐沖の一本釣り漁場の北寄り・沿岸寄りで操業し、かつお主体にびんなが、きはだ混じりの漁獲が見られた。サイズは大(3kg台)・特大(4〜kg台)の大型魚主体であった。気仙沼主体に1日あたり100〜700トンのまとまった水揚げが続き、まき網によるかつお漁は非常に好調であった。
 6月上中旬の水揚量は7千200トンで、前月の2.1倍、前年同月の4.1倍であった。価格は169円/kgで、前月の21%安、前年同月の56%安であった。
 消費地(東京)におけるかつおの入荷は、千葉主体に宮城・伊豆諸島・三重等からであった。入荷量は前月から78%増加し、前年同月から82%増加した。価格は前月の13%安、前年同月の37%安であった。
 今後、一本釣りはびんなが主体からかつお主体の漁に切り替わることから、東京への入荷量はやや増加し、卸売価格は入荷が潤沢なことからやや弱含むと見込まれます。

   (水産情報部)
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