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vol.973

4月の近海カツオ竿釣り漁場と水揚状況について

近海竿釣り船の漁場

 4月の近海カツオ竿釣り船の主漁場は前月の九州沖縄海域から伊豆諸島海域へ北上した(図1a)。前年は熊野灘でビンナガが漁獲されはじめていたが(図1b)、今年4月にはビンナガはまだ見えず、伊豆諸島沖で特々大、下旬に四国沖と紀伊半島沖で小型カツオの漁場が形成された。延隻数は434隻で前月より減少し、前年同期より少なかった。4月は時化が多かったためとみられる。平均漁獲量は4.2トン/隻・日で前月(3.8トン/隻・日)よりやや増加した。

水揚量と価格

 全国の水揚量は1,920トンで、前月(2,630トン)より減少した(図2)。しかし、前年同月はすでにビンナガ漁が始まっていたためカツオ主体ではなかったものの、前年同月よりは多く、2019年並みとなった。水揚港別では、房州勝浦956トン、鹿児島891トンで全国の水揚げの大半をしめた(図3)。価格は房州勝浦で405円/kg(前月312円/kg)、鹿児島で280円/kg(前月218円/kg)、全国では349円/kg(図4)となり、平均価格は上昇した。前月より水揚量が少なかったためとみられる。

勝浦の銘柄別水揚量

 例年春先のカツオ水揚げの主要港は房州勝浦であるが、今年3月は九州沖縄海域が好漁場となったため、鹿児島の水揚量が最も多かった。4月になり鹿児島への水揚げも続いたが、漁場が伊豆諸島海域へ移ったこともあり、勝浦での水揚げが最多となった。勝浦では昨年春先にはカツオの水揚げが低迷し、銘柄別では「大」以上の大型魚の漁獲が主体となり、秋の東北沖で脂が乗る中型魚に成長する群れはほとんど見られなかった(図5b)。今年は3月下旬ごろから「小々」の水揚げも見られ、4月下旬・5月上旬には「小々」以下の銘柄が半分程度を占めている(図5c)。秋の東北沖で中型魚主体に漁獲された2019年ほどの水揚量ではないものの、今年は、秋までに中型魚になる小型の漁獲も認められることから、前年のように中型魚が漁獲されずに大型魚と小型魚に二極化する「中抜け」の水揚げとはならないとみられる。
 海況としては東北沖に暖水の張り出しが見られ、春先の伊豆諸島南部の海面水温が高かったこともあり、カツオの北上には好適な海況となっている。5月に入りカツオ竿釣り船は魚価の良いビンナガ主体の漁となっているが、夏以降のカツオの水揚げが期待される。

   (水産情報部)
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