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vol.971

令和3年4月の海況について

1. 4月の海況概要

〇黒潮域
・黒潮流路は、九州〜四国(図1A)では今期も大きく離岸しているが、その程度は前月より弱かった。潮岬以東では、最南下緯度はやや北上して31°N前後であった。蛇行北上部は伊豆諸島東沖から徐々に西進し、伊豆諸島の西沖を北上する典型的大蛇行流路となった。
・黒潮流軸の水温は、南西諸島周辺は23〜25℃で前月より1〜2℃昇温し、九州〜四国沖は21〜22℃、関東〜東海沖は20〜21℃で約1℃昇温した。
・九州〜紀伊半島南沖(図1A)は黒潮流軸の離岸や黒潮内側域の冷水の影響で、近年より低めであった。遠州灘では引き続き反流等で暖水が波及したが、前月に比べると弱まり、近年(2011〜2020の平均)より1℃弱高めであった。
・沖縄東沖と南方沖(図1B)は台風2号の影響で近年より1℃弱低めであった。

〇親潮域・混合水域
・黒潮続流は前月よりは南下したが引き続き北上が著しく、金華山沖の38°Nまで北上した。2011〜2020年の10年間の黒潮流軸(図2)の最北上緯度(38°N付近)と同程度となっている。
・黒潮続流北上部からは常磐沿岸(図1D)に暖水が波及し、最北上部の峰部分からは三陸沖に暖水が波及して暖水塊(図1E)を形成している。これらの影響で、常磐沿岸や三陸沖では近年より6〜8℃と著しく高めであった。
・三陸北部〜襟裳岬沖や三陸のはるか沖合(図1F)は親潮系冷水が南下した影響で近年より1〜2℃前後低めであったが、三陸沖暖水塊(図1E)の影響により、海面水温が低めの海域は前月より縮小した。
・釧路沖暖水塊(図1G)は前月よりやや昇温して4〜5℃となった。前年(10℃前後)と比べると低めだが、暖水塊の構造は保たれており、下旬には三陸沖暖水塊付近からの暖水供給もみられた。
・親潮(図1F)は前月下旬までは発達し、面積も平年より大きかったが、4月に入ると三陸沖暖水塊(図1E)の影響もあり、平年並に縮小した。沿岸分枝は40〜41°N・143°E、沖合分枝は三陸沖暖水塊(図1E)の沖側の40〜41°N・147°E付近に後退した。

〇東シナ海〜日本海・オホーツク海
・日本海の海面水温は期間を通して対馬暖流の勢力が平年より強かった影響で、西部や沖合域を中心に広範囲で近年より2〜4℃高めであった。
・東シナ海では、寒気や季節風が弱かった影響で、ほぼ全域で近年より高めで、特に南西諸島西沖では2〜3℃高めであった。
・日本海沖合域の大和堆や40°N付近の極前線前後や東朝鮮暖流域には、前月に引き続き多数の暖水渦(図1I)や冷水渦(図1J)が並び、近年より2℃以上高めであった。
・日本海西部では、東朝鮮暖流域の朝鮮半島北部や鬱陵島付近では期間中安定して暖水渦が形成され、近年より2〜4℃高めであった。
・日本海の本州〜北海道沿岸も近年より高めだったが。沖合域より弱く、おおむね1℃前後の高めであった。

   (海洋事業部)
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