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vol.965

2月の近海カツオ竿釣り漁場とカツオ魚体と水揚状況について

近海竿釣り船の漁場

 今年の近海カツオ竿釣り漁は2月に始まった。主漁場は小笠原諸島南東沖で、前年より東寄り、前々年より広範囲で操業がはじまった(図1)。毎年初漁期は近海竿釣り船の情報はないため、大型船が冬季に操業した海域の情報をもとに漁場を探索している。大型船は今年1〜2月には北緯20〜25°、東経150〜158°で操業し、2.5〜4.5kg(房州勝浦港の銘柄に当てはめると中〜特大)を58%程度漁獲した(図2)。2月に入り、その大型船の漁場より北西寄りで近海竿釣り船の漁場が形成された。前年は小笠原諸島南方の海域で魚影が薄く、九州沖縄海域へ漁場が移動したが、今年は小笠原諸島南東沖で漁が続いた(図1)。 延隻数は81隻で前年同月(172隻)の半数にとどまった。気象庁の気象データによれば、今年2月は最大風速10m/2以上日数が8日で前年同期(4日)、前々年同期(6日)より多く、海象が不安定だったことが延隻数減少の要因のひとつとみられる。

水揚量と価格

 生鮮カツオ(釣り)の2月の全国水揚量は642トン(図3)で、前年同月(252トン)より多いが、5年平均水揚量より少なく、今年も低調なスタートとなった。価格は311円/kgで前年の約半値となった。2月の主要水揚港の勝浦では飲食店需要の落ち込みが価格低迷の主な要因とみられ、今月の水揚げ第2位の鹿児島では、緊急事態宣言下で航空便が減便されたことにより消費地への輸送量が限定され、水揚港で供給が需要を上回り価格が低迷したとの情報もある。

房州勝浦港水揚げの銘柄組成

 房州勝浦港に水揚げされた生鮮カツオ(釣り)の銘柄別組成は、今月は特特大を中心に、極小や小・中など比較的小型の銘柄も見られた(図3d)。近年2月に勝浦港に水揚げされる銘柄はほぼ特大以上であり(図3a,b)、前年と今年の小型銘柄の水揚げは例年と異なる状況と言える(図3c,d)。前年(2020年)は漁場が九州沖縄海域に移動し、沿岸の小型魚が漁獲対象となったことが、小型銘柄が水揚げされた要因とみられた。一方今年は漁場位置が2019年と同様の位置(図1a)だったにも関わらず銘柄の組成が2019年とは異なった。2月に漁獲された極小は南方で冬季に発生したと考えられ、この極小の群れの一部が今後北上することが期待される。

   (水産情報部)
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