JAFICが調査している全国主要107港における2020年10〜12月の調査対象全魚種の累計水揚量は54万5千トンで、前年同期(55万5千トン)の98%であった。1〜12月の累計水揚量は196万3千トンで、前年同期(198万3千トン)の99%であった。10〜12月の平均価格は226円/kgで、前年同期(220円/kg)の103%であった。1〜12月の平均価格は191円/kgで、前年同期(202円/kg)の95%であった(表1)。
主要47魚種の10〜12月の魚種別の累計水揚量と平均価格を前年同期と比較した(表2、図1)。水揚量は、マアジ、生鮮カツオ、生鮮スルメイカなど19魚種が前年同期を上回り、カタクチイワシ、ヤリイカなど7魚種が前年同期並み、マイワシ、さば類、サンマなど21魚種が前年同期を下回った。平均価格は、さば類、かれい類、サンマなど13魚種が前年同期を上回り、マイワシ、冷凍メバチなど7魚種が前年同期並み、マアジ、生鮮カツオ、養殖マダイなど27魚種が前年同期を下回った。
平均価格が前年同期を下回った魚種が多く、1,000円/kg以上の高価格魚に注目すると、前年同期から価格を下げたのは、キンメダイやトラフグなど7魚種であった。そのうち養殖ヒラメ、うに類の2魚種が、水揚量が減少したにもかかわらず価格を下げた。
第1回目の新型コロナウイルスの緊急事態宣言が発令され、外出の自粛要請や飲食店の営業時間の制限が続いた4〜6月と比べると、前年同期から水揚量が減少したにもかかわらず、価格を下げた魚種は16魚種から6魚種に減少し、1,000円/kg以上の高価格魚では、9魚種から2魚種に減少した。
代表的な魚種の産地市場における動向は、次のとおりである。
1)キンメダイ
10月の平均価格は1,698円/kg、11月は1,450円/kgで前年をやや下回ったものの、12月は1,739円/kgまで回復し、前年同期並みであった。1〜12月の累計水揚量は1千600トンで前年(1千700トン)の96%であったものの、平均価格は1,739円/kgで前年(1,657円/kg)の88%と弱含みであった。2月を除き年間を通して前年を下回る価格で推移した。
2)養殖マダイ
562円/kgであった10月から、11〜12月は600円/kg台まで回復したものの、新型コロナウイルス流行による業務向けの需要減少の影響で、年間を通して前年を大きく下回る価格で推移した。 相場安のため量販店での売れ行きは好調であった。
東京都中央卸売市場(豊洲市場)における取扱数量と平均価格を図4に示した。10月と11月の数量は、共に1万8千トンで前年並み、12月は2万1千トンで前月を上回ったものの前年をやや下回った。1〜12月の累計数量は 21 万5千トンで前年同期(22万4千トン)の96%であった。平均価格は、10月が1,173円/kgで前年並みであったものの、新型コロナウイルスの感染者が増加した11月は1,204円/kgで前年をやや下回る価格となった。12月は1,429円/kgで前年並みであった。1〜12月の平均価格は1,146円/kgで、前年同期(1,252円/kg)の92%であり、1年を通して前年を下回る価格で推移した。
10〜12月は、10月にGo Toキャンペーンで飲食店の利用が増えたこともあり、4〜6月と比べると価格を持ち直したものの、11月以降再び新型コロナウイルスの感染者が増加したことから、1,000円/kg以上の高価格魚を中心にコロナ禍による需要減少の影響が見られた。