JAFICおさかなひろば(以下、おさかなひろばという)による生鮮スルメイカの1月の水揚量は、沖合底びき網によるスルメイカ漁獲量が2020漁期(2020年4月〜2021年3月)のTAC数量に達したことにより三陸での水揚量がほとんどなかったことや時化が多かったこと等により424トン(2月17日現在の集計、以下同様)にとどまり、前月の1,856トンから大きく減少し、前年(817トン)および5年平均(802トン)を下回った。1月の平均価格は607円/kgで、水揚量が減少したにも関わらず前月(666円/kg)より低くなり、前年(675円/kg)を下回ったが、5年平均(535円/kg)を上回った(表1、図1)。
冷凍スルメイカの1月の水揚量は424トンで、前月(697トン)より減少し、5年平均(586トン)を下回ったが、前年(216トン)を上回った(表2、図2)。
生鮮スルメイカの産地(JAFIC調査地)別の1月の水揚量は、沖合底びき網による水揚量が僅かだったため、昨年1月に1位だった宮古が10位内に入らず、同2位だった石巻(42トン)は4位に後退した。今年1月に水揚量が最も多かったのは酒田(68トン)で、2位は松浦(55トン)、3位は八戸(48トン)で、何れも前年を下回った。5位は境港(23トン)で前年を上回った。6〜10位は、各13〜15トンの水揚げで八幡浜・魚津・銚子・気仙沼では前年を上回ったが、金沢では前年を下回った(表3、図3,4)。
なお、おさかなひろばの集計には含まれないが、石川県水産総合センターからの提供データによると、石川県各地の定置網へのスルメイカの入網が1月は196トンに達し、1月としては2016年以降で最多となった他、2月に入っても好調な入網が続いている。
生鮮スルメイカの1月の年別・海区別の水揚量をみると、2021年は常磐〜三陸で大きく減少した他、九州〜山陰でも減少したが、東北日本海側〜北陸では、2020年より減少したものの、2018年および2019年を上回った(図6)。
生鮮スルメイカの今後の見通しは、太平側では、沖合底びき網がTAC数量に達しているため水揚量の増加は期待できないが、日本海側では、島根県沖や対馬沖に釣り漁場が形成されていることや、石川県の定置網の水揚量が好調なことから、今後の水揚量の増加が期待される。
冷凍スルメイカの今後の見通しは、例年冬から春にかけては水揚量が減少する時期だが、人工衛星夜間可視画像から判断すると、島根県沖に船凍スルメイカ釣り漁船のまとまった操業がみられ、水揚量の増加が期待できると思われる。