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vol.960

1月のマイワシ・さば類・マアジの漁況について

1. 太平洋側のマイワシについて

 1月中旬から塩屋崎〜犬吠埼沖にマイワシ漁場が形成された。漁場位置は前年と同様であったが、北部まき網による漁獲量は前年を大きく下回り、さば類主体の水揚げであった。
〇銚子港:1月の水揚量は12月を上回ったものの、前年を下回った(表1)。サイズは体長17.5cmモードで20cm以上も混じった。体重は60〜70g主体で100g以上も混じった(図1、2)。なお、2月に入り、1日2000トン近く水揚げされている。

2. 太平洋側のさば類について

〇石巻港:1月の水揚量は12月を下回ったものの、前年を上回った(表2)。漁場は1月上旬には金華山沖、中下旬は塩屋崎〜犬吠埼沖に形成された。時化が多く、操業日数が少なかった。1月12日の北部まき網による水揚量は約12000トンで、今期で最大であった。他の日では3000〜5000トン程度であった。北部まき網により漁獲されたマサバは体長(尾叉長)27〜29cm主体であった。12月は体長30cm前後が主体であり、1月はやや小型のものが主体となった(図3)。
〇銚子港:1月の水揚量は12月を下回ったものの、前年を上回った(表3)。漁場は犬吠埼沖が主体であったため、銚子港に水揚げする船が多かった。体長28〜30cm主体であり、体重240g主体であった(図4、5)。12月の水揚物と比較すると体長体重ともに小型のものが水揚げされた。2月上旬から三重県奈屋浦港への水揚げや伊豆諸島海域のたもすくい網での漁獲マサバの水揚げが始まり、大型のマサバが産卵場へ来遊していることが考えられる。

3. 日本海および東シナ海側のマサバについて

〇境港:1月の水揚量は12月を上回り、前年を上回った。(表4)。価格は119円/kgであり、12月を上回ったものの、前年同月を下回った。体長は28cmと34cm前後にモードがあり、体重は340gと640g前後にモードがあった(図6、7)。大型のものも水揚げされるようになり鮮魚としての出荷もあったが、水揚量が少なかった前年と比較すると価格は低かった。

〇松浦港:1月の水揚量は12月を上回り、前年を上回った(表5)。1月は対馬海域主体の操業であった。水揚物の体長は27cm前後主体であり、30cm以上も混じった。体重は200〜300g前後主体で500〜600g前後も水揚げされた(図8、9)。今後も対馬海域を中心に漁獲が続くと考えられる。

4. 日本海および東シナ海側のマアジについて

〇境港:1月の水揚量は12月を上回るとともに、前年を上回った。価格は149円/kgであり、12月を上回ったものの前年を下回った(表6)。水揚物は体長(尾叉長)19〜20cm、体重100〜120g主体であった(図10、11)。
〇松浦港:1月の水揚量は12月を下回り、前年を下回った(表7)。1月の主漁場は九州西沖海域であった。水揚物の体長は23cm前後主体で体重140g主体であった(図12、13)。今後は対馬海域中心の操業となり、1歳魚主体に漁獲されると考えられる。

5. まとめ

 太平洋側のマイワシは1月中旬から塩屋崎灯台沖〜犬吠埼沖に漁場が形成され、銚子港を中心に東北各港にも水揚げされた。北部まき網による水揚物は体長17cm前後、体重60〜75g前後主体であった。石巻港では定置網、気仙沼港では棒受網によるマイワシの水揚げがあったが、体長15.5cm前後主体で体重30〜40g前後主体であった。銚子港には体長17.5cmモードで20cmを超えるものも水揚げされていることから、産卵群は犬吠埼沖に魚群を形成していると考えられる。
 太平洋側のさば類については、1月上旬は金華山沖、1月中旬下旬は塩屋崎灯台沖〜犬吠埼沖に漁場が形成された。
1月の石巻、銚子港の水揚物は体長28〜29cm前後主体で体重240g前後の南下群であった。12月と比較すると主体サイズが小さくなっているため、30cm前後の産卵群はさらに南下したものと考えられる。1日あたり3000〜5000トン程度水揚げし、多い日には1.2万トンを水揚げしたが、時化が多く操業日数が少なかった。2月以降は北部まき網による水揚げはマイワシ主体に切り替わりつつあり、三重県奈屋浦港への水揚げ、伊豆諸島海域におけるたもすくい網等での漁獲が始まったことから、大型魚の産卵群が産卵場へ向けてさらに南下していると考えられる。
 境港ではマサバ・マアジともに12月、前年を上回る水揚量であった。価格は両魚種とも前年を下回った。マサバは12月にはあまり見られなかった体長34cm前後、体重640g前後の大型サイズが見られ、このサイズは鮮魚向けと考えられる。鮮魚向けとなることで12月と比較すると価格が上がったが、水揚量が少なかった前年と比較すると価格は下回った。
 東シナ海では対馬海域を中心にマサバが漁獲され、九州西沖海域を中心にマアジが漁獲された。マサバの水揚量は12月を上回るとともに前年を上回った。マサバは体長27cm前後主体で、体重300g前後主体であった。体長35cm前後体重500g以上のサイズも混じった。今後も対馬海域で0〜1歳魚が漁獲されると考えられる。マアジの水揚量は12月を下回ったとともに、前年を下回った。体長23cm前後、体重140g前後(1歳魚)が主体であった。今後、対馬海域主体に1歳魚の漁獲が増加すると考えられる。

   (水産情報部)
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