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vol.946

10月の近海カツオ竿釣り漁場とカツオ魚体と水揚状況について

近海竿釣り船の漁場と魚体組成

 10月の近海カツオ竿釣り船の主漁場は9月と大きな変化はなく、東北沖40°N以南・146〜151°Eの表面水温9〜21℃の海域に形成され、房総から常磐の陸寄りでも漁場が形成された(図1a、b)。前年同期の漁場位置は、東北沖漁場は40°N以北で、陸寄りの漁場は常磐から北海道南東の18℃程度の海域で広く漁場が形成されたが(図1c)、今年は沖合・陸寄りの漁場ともに前年より南方で操業された。10月を通した漁場水温は20〜21℃が中心で、前年同月(18〜19℃中心)より高め(+2℃)だった(図2)。
 各漁場で主に漁獲された銘柄を見ると、9月下旬に黒潮系暖水の東北海域への張り出しの西側(図3a、146°E周辺)には小が、東側(150°E周辺)には特大が分布する傾向が見られた。10月上旬になり、西側の小が20℃の等温線に沿って40°N付近まで北上し(図3b)、中旬は東の特大も150°Eに張り出した20℃の等温線に沿って北上した(図3c)。10月下旬には西側から北上する暖水と東側から北上する暖水の2つ暖水の先に小と特大の漁場が形成され、1か月の間に「西から北上した小」と、「東から北上した特大」の異なる群れ・経路が見られた。
 10月の全船平均漁獲量は4.5トン/隻・日(延426隻)で、前年同月の4.2トン/隻・日(延隻数339隻)をやや上回った。
 気仙沼港に水揚げされたカツオの体重組成をみると、9月と同様に2018・2019年に多く漁獲された中小・中・大(体重1.8〜4kg)は少なく、1.6-1.8kgモードの小主体で前年(3kg)より1kg以上小さかった(図4)。10月の特大は7kg以上が多く、9月の特大(6kg台)よりも魚体は大きくなった。

水揚状況について

 生鮮カツオ(釣り)の今年1〜10月の全国累積水揚量は、1〜9月までと同様に2015年以来最も少なく、19,205トンで、過去5年の1〜10月の平均水揚量(31,180トン)の60%程度に留まった(図5)。月別の水揚量は、10月は前月より減少したが、過去5年平均より多く2,639トンだった(図6a)。平均価格は280円/kgで。前月比88%と安くなり、前年同期(480円/kg)より安かった。市場では脂乗りや加工に適するサイズかどうかで主に価格が形成されるが、今年主に漁獲された小・特大は脂乗りの良い中と比べると値がつきにくいサイズだった。加えて10月は魚体が小さく、さらに水揚量も多かったことが安値につながったとみられる。
 生鮮カツオ(まき網)の10月の全国水揚量は9月より減少したが、釣りと同様に過去5年平均を大幅に上回った(図6b)。平均価格は356円/kgで前月比124%に上昇した。
 10月はサイズは小さいながらも漁獲が続き、小売店でも小ぶりのカツオのパックが手に入って食卓で楽しむことができた。11月に入り竿釣り船各船はこの海域での操業を切り上げており、東北海域の生鮮カツオのシーズンは一旦終了する。

   (水産情報部)
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