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vol.942

9月のスルメイカ漁況経過について

 JAFICおさかなひろば(以下、おさかなひろばという)による9月の生鮮スルメイカの水揚量(10月14日現在の集計、以下同様)は4,587トンで前月(3,208トン)より増加し、前年(3,770トン)を上回ったが、近年5年平均(2015〜2019年)(6,991トン)を大きく下回った (表1、図1)。 9月の平均価格は512円/kgで、三陸での底曳網での水揚量が増加したこともあり、前月(551円/kg)より下がり、前年(650円/kg)を下回ったが、5年平均(402円/kg)を上回った(表1、図1)。冷凍スルメイカの水揚量は、342トンで前月(772トン)、前年(728トン)を下回った(表2、図2)。
 生鮮スルメイカの1〜9月の累計水揚量は、18,458トンで前年(16,069トン)を上回ったが、近年5年平均(20,182トン)を下回った(表1、図1)。冷凍スルメイカの1〜9月の累計水揚量は、2,459トンで前年(2,449トン)並みだが、近年5年平均(7,025トン)を大きく下回った(表2、図2)。
 生鮮スルメイカの産地別(JAFIC調査地)の9月の水揚量は、八戸が1,750トンで前月(1,427トン)より大きく増加、前月に続き全国で最多となり、全国の38%を占めた。八戸の9月の漁業種類別の内訳は、底曳網主体(9割弱)に、釣り(1割弱)とみられ、前年1〜2割程度の水揚げがあったまき網は、今年はほとんど水揚げされなかった。
 他の主要産地の9月の水揚量は、石巻709トン、宮古672トン、久慈253トン、三沢172トン、小樽116トン、浦河110トン、金沢110トン、網走90トン、釧路74トンで、三陸での水揚げが目立ち、三陸各地では前年を上回った(表3・5・6、図3・4・7・8)。また、三陸各地の9月の水揚げは、底曳網が主体となっている。
 生鮮スルメイカの産地別の1〜9月の累計水揚量は、金沢5,378トン、八戸3,581トン、石巻1,152トン、北浦1,056トン、宮古875トン、酒田684トン、三沢608トン、新潟461トン、久慈404トン、松浦392トンで、八戸で前年を下回っている他は、各地で前年を上回った(表4・5・6、図5・6・7・8)。
 JAFIC調査地ではないが、長崎県壱岐勝本では、9月末に15.1トンの水揚げがあり(長崎県漁海況速報)(図10)、9月としては2015年以降で初めての水揚げであった。また、1〜9月の累計は510トンで2015年以降で最多となった(図11)。JAFIC調査地中では三沢に次いで8位に相当する水揚量であり、今後の動向が注目される。
 NPPDNBによる人工衛星夜間可視画像によると、9月の日本海の沿岸域では佐渡島周辺〜山形県付近に多くの光がみられ、能登半島周辺や山陰+沿岸でも光がみられたが、北海道周辺での光は少なかった。また、沖合域では、今年は大和堆付近では、目立った光はあまりみられず、漁場が形成されても短期間で途切れていたが、9月中旬以降は大和堆付近に多数の光が集中してみられるようになった。 10月以降は、太平洋アカイカ漁を切りあげた船凍船が大和堆付近で操業するようになり、操業船が増加、多数の光が継続してみられている。既に前月に比べて冷凍スルメイカの水揚げも増加していることから、今後、更に増加することが期待される。
 2020年度 第2回 太平洋スルメイカ長期漁況予報(国立研究開発法人 水産研究・教育機構、9月29日発表)による今後の見通し(10〜12月)は、@根室海峡〜オホーツク海、A道東太平洋海域、B津軽海峡〜道南太平洋海域、C常磐〜三陸海域の各海域のうち、@では来遊量は前年を下回るが、A・B・Cでの来遊量は前年を上回ると予報されており、今後が期待される。

   (水産情報部)
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