トピックス

トピックス一覧
最近の水産の話題はこれ! 随時更新
vol.933

8月のスルメイカ漁況経過について

 JAFICおさかなひろば(以下、おさかなひろばという)による8月のスルメイカの水揚量(9月14日現在の集計、以下同様)は3,200トンで前月(2,387トン)より増加したが、前年(3,591トン)、近年5年平均(2015〜2019年)(3,682トン)を下回った (表1、図1)。8月の平均価格は499円/kgで、水揚量が増加したこともあり、前月(549円/kg)より下がり、前年(535円/kg)を下回ったが、5年平均(462円/kg)を上回った(表1、図1)。
 1〜8月の累計水揚量は、13,866トンで前年(12,299トン)を上回り、近年5年平均(13,192トン)をやや上回った(表1)。
 産地別(JAFIC調査地)の8月の水揚量は、八戸が1,652トンで最も多く、全国の50%を占め、前月(304トン)より大きく増加したが、前年(1,972トン)を下回った。前月まで3カ月連続で最も多かった金沢は475トンに減少したが、前年(105トン)、5年平均(38トン)を大きく上回った(表1・3、図3・4)。また、八戸での水揚げは、まき網および釣りによるもので、まき網が7割程度を占めていると見られる。
 他の主要産地の8月の水揚量は、三沢363トン、白糠(青森)143トン、泊125トン、酒田111トン、苫小牧36トン、花咲31トンであった。水揚上位10産地のなかでは新潟と酒田でやや増加し、前年を上回ったが、その他では前年を下回った産地が多かった(表4、図4・5)。
 また、道西各地では前月より減少した産地が多く、前年の8月は水揚上位10港の中に3港が入っていたが、今年の8月は、1港のみであった(表4、図4・5)。
 1〜8月の累計水揚量は、金沢が5,272トンで前年(4,279トン)を上回り、近年6年間で最多となった(表3・5、図6・7)。
 金沢で7月に最も水揚量が多かった7月10日および8月に日本海の各地でスルメイカ漁場が形成された8月24日のNPPDNB(人工衛星夜間可視画像)と、その直近のJAFIC日報水温図をみると、@日本海の表面水温は全域で2〜5℃程度昇温、A対馬暖流は前月と比較して沿岸に接岸して北上、B隠岐諸島沖を北上する強勢となった暖水沿いにスルメイカ漁場が形成、C7月10日は能登半島〜佐渡島周辺に主漁場が形成、D8月24日は佐渡島周辺が主漁場で山形県沿岸・能登半島周辺・山陰沿岸各地にも形成、E同日には道西には不形成となっていた。
 2020年度 第1回 太平洋および第2回日本海スルメイカ長期漁況予報(国立研究開発法人 水産研究・教育機構、7月29日発表)によれば、@太平洋側の8〜9月の来遊量は、道東太平洋海域および津軽海峡〜道南太平洋海域で前年を上回る、A日本海側では、道南・津軽海域では8月までに来遊のピークがあり前年を上回る、B道北・道央海域では8月までと10〜11月に来遊のピークがあり前年を上回ると予報されている。8月は、八戸で水揚量が大きく増加したが、前年を下回っており、来遊量は8月末現在、まだ前年を上回っていない。今後、来遊量が増加することを期待したい。

   (水産情報部)
  • ◇トピックス 全文◇
  • このページのトップへ