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vol.932

8月の近海カツオ竿釣り漁場とカツオ魚体と水揚状況について

近海竿釣り船の漁場と魚体組成

 8月の近海カツオ竿釣りの漁場は、上旬に伊豆諸島近海で特大を中心とした漁場が形成されたが、中旬以降は東北沖の混合域が主漁場となった(図1)。下旬には陸寄りの釜石沖にも漁場が形成され、この漁場では極小中心の漁獲となった(図2下段)。 8月の平均漁獲量は4.8トン/隻・日(延362隻)で、前年同月の9.4トン/隻・日(延べ476隻)を大きく下回った。漁場水温は、上旬は23〜24℃、中旬は25〜26℃、下旬は26〜27℃が中心となった(図2)。前年同月下旬の漁場水温(22〜23℃が中心)と比較すると、 今年の8月下旬の漁場水温は高く、例年のように40°N以北、23℃以下の水温帯に北上する群はほとんどなかったとみられる。気仙沼港に水揚げされたカツオの魚体組成をみると、7月に引き続き、例年出現頻度の高い中小・中・大(体重1.8〜4kg)は少なく、 今年は小(1.3〜1.8kg)と特大(4〜6kg)が多く漁獲されており、これまでにない魚体組成となった(図3)。海域別にみると、銚子以北では沿岸寄りの漁場で小が漁獲され、比較的沖合で特大が漁獲される傾向があった。

水揚状況について

 生鮮カツオ(釣り)の1〜8月の全国水揚量は、前月に引き続き2015年以来最も少なく、13,143トンで、過去5年の1〜8月の平均水揚量(24,500トン)の50%程度となった(図4)。 月別の水揚量では、8月は前月(3,463トン)よりやや増加し3,484トン(過去5年同月平均の75%程度)だった(図5上段)。平均価格は、前月の322円/kgとほぼ変わらず334円/kgで、前年と同程度だった。
 生鮮カツオ(まき網)の月別全国水揚量は、7月までは釣りと同様に過去5年平均を大幅に下回っていたが、8月は2,862トンで過去5年平均の約1.7倍の水揚量となった(図5下段)。8月の平均価格は230円/kgで前年同月比80%程度であった。 水揚量が多かったことや小サイズの割合が多かったことが要因となってか、価格は低い状況が続いている。
 例年、8月に漁獲される中サイズが9月も漁獲の主体となり、10月に東北海域北部の低水温域(19℃以下)まで北上するが、今年はほとんどみられない。8月に多く漁獲された小サイズは、前年8〜9月は19〜22℃程度の水温帯にも出現がみられた。 今年8月の漁場水温は23℃以上で前年より水温の高い海域での操業となったが、今後カツオの分布域が、より餌の豊富な低水温域へ北上するのか、このまま23℃以上の海域となるのか、水温分布の季節変化と合わせて注視していく必要がある。 この小サイズの群れの出現が9月以降も続けば、秋季も東北沖での漁場形成が見込まれる。ただし特大サイズは南下がはじまる時期が比較的早く、今後は小サイズが中心の漁獲になるとみられ、引き続き例年と異なる群れが漁獲対象となると推測される。

   (水産情報部)
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