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vol.926

7月のマイワシとさば類の漁況について

1.太平洋側のマイワシについて

〇根室市花咲港: さけます代替棒受網漁業の漁場は、花咲南沖で漁場水温は11〜17℃前後であった。7月の水揚量は6月を上回ったものの、前年を下回った(前年比37%)(表1)。7月上中旬は体長17〜18cm主体に20cm以上、体重70〜80g主体に100g以上を漁獲したが、7月下旬には20cm以上、100g以上の大羽サイズの割合が減り、16〜18cm、50〜60g主体となった(図1)。
〇釧路港: まき網による7月の水揚量は54,074.4トン(前年比3.2倍)、1網あたりでは136.5トンであった。漁場は釧路港灯台南東46海里〜東54海里であり、釧路沖から落石沖まで広がっており、7月下旬にかけて漁場は東よりになった。
〇石巻港: 7月の水揚量は6月並で前年を上回った(前年比107%)(表2)。まき網による漁獲が主であった。まき網漁場は、金華山沖〜釜石沖を中心に八戸沖や銚子沖にも形成された。漁場水温は14〜21℃であった。体長15〜16cm、体重45〜50g主体。6月から水揚物の組成に変化はなかった(図3、4)。
〇銚子港: 7月の水揚量は6月を下回るとともに、前年を下回った(前年比35%)(表3)。一艘まき網による水揚が減り、二艘まき網による水揚が主であった。水揚量が少なかったため、価格は6月を上回るとともに、前年を上回った。

2.日本海側のマイワシについて

〇境港: 7月の水揚量は6月を下回ったものの、前年を上回った(表4)(前年水揚げナシ)。漁場は隠岐海峡周辺、浜田港沖であった。漁模様は6月に引き続き好調で、マイワシに加えてカタクチイワシも好調であった。魚体については6月下旬同様に9〜10cmで小羽主体であった。

3.太平洋側のさば類について

〇石巻港: 7月の水揚量は6月を下回ったものの、前年を上回った(前年比2.04倍)(表5)。まき網による水揚はなく、定置網と底曳網での水揚が主体だった。6月とは異なり、体長(尾叉長)34cm前後が主体であった(図9)。 〇銚子港: 7月の水揚量は6月を下回ったものの、前年を上回った(前年比1.43倍)(表6)。銚子沖で一艘まき網、二艘まき網で水揚げがあった。

4.日本海および東シナ海側のマサバについて

松浦港: 7月の水揚量は6月を下回ったものの、前年を上回った(前年比1.83倍)(表7)。6月同様に対馬海域北部主体の操業で東シナ海南部でも操業があった。マサバの体長(尾叉長)は6月には見られなかった23〜25cmモードで、体重は140gモードであり、30cm台はあまり見られなかった(図12、13)。

5.まとめ

 太平洋側のマイワシは花咲沖で操業した棒受網漁業では、7月上中旬に体長17〜18cm主体に20cm以上のサイズが見られたが、7月下旬には16〜18cmの1、2歳魚主体になった。7月を通して金華山沖〜八戸沖のまき網では体長16〜18cmの1、2歳魚が見られた。これらのことから、7月上中旬に花咲沖で漁獲されていた体長20cm以上の大型のマイワシは、道東沖の水温の上昇に伴って花咲沖よりさらに北上し、漁獲の主対象から外れたものと考えられる。8月に入り、東北沖のまき網は、さば類・スルメイカ主体の操業になった。マイワシについては7月に東北沖に分布していた群れが道東沖に北上し、さらに道東沖の水温が低下すると、北から東沖に南下する群れが加わることから、8月下旬以降、道東まき網で水揚げされることを期待したい。太平洋側のさば類は東北海域における定置網や底曳網、銚子沖の一艘まき網・二艘まき網で水揚があった。石巻では定置網や底曳網での水揚げが主体であり、体長は32cm前後が主体であった。銚子沖のまき網での水揚物は体長26cm前後主体、体重200g前後主体であった。
 中西部日本海においては、5・6月から引き続きマイワシの漁獲が好調に推移している。7月は小羽イワシ主体であったが、輸出向けの加工原料として需要があり、値段も高めだった。6月に低調だったマアジの水揚げは6月を上回るとともに、前年を上回った(前年比1.13倍)
 対馬海域を中心にマサバ、マアジが漁獲され、水揚げ量はマサバは前年を上回ったが、マアジは前年を下回った。

   (水産情報部)
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