6月の近海カツオ竿釣りの主漁場は、5月の伊豆諸島から銚子南東沖より北東へ移動し、銚子南東沖から常磐沖で、黒潮続流に沿って形成された(図1)。
6月上旬は銚子沖でビンナガ主体の漁場が形成され、中旬は漁場がやや南下して比較的広い海域で操業し、同時にカツオ主体の漁場が形成されはじめた。
6月下旬は黒潮続流の流路の影響を受けて漁場全体が西に寄り、カツオ狙いの操業が増加する一方、6月25日以降ビンナガ主体の隻数が急減した(図2)。
近海竿釣り船によるカツオの月別の平均漁獲量(図3)は、5月は4.0トン/隻・日で前年並みだったが、6月にはカツオ大、中を中心に11.4トン/隻・日へ増加し、前年同期を上回った。
一方、延べ操業隻数は214隻で前年より少なかった(図3左)。今年好漁が続くビンナガは近海竿釣り船による操業隻数、平均漁獲量ともに前年4、5、6月を大幅に上回り、6月の平均漁獲量はビンナガ中、大を中心に13.3トン/隻・日となったが、7月5日にはビンナガ狙いの操業はほぼ終了した(図3右)。
生鮮ビンナガ(全漁業種類)の全国年間(1〜12月)水揚量は2015年から3万トン以上で推移しているが、今年は1月から6月までに34,164トンを水揚げ、すでに前年の年間漁獲量を上回り、例年にない好漁となった(図4)。
全国水揚地の月平均価格(図5)は、生鮮ビンナガ(全漁業種類)では5月355円/kgで前年の419円/kgより安く、6月は212円/kgまで下がり、2015年以降で最安値となった。
春季から続いた好漁による水揚量の増加が価格低下の要因とみられる。カツオ(釣り)は5月が648円/kgで前年同期(352円/kg)より高かったが、6月は341円/kgで前年同期(383円/kg)より安くなった。
生鮮カツオの月別水揚量は6月には2,313トン(おさかなひろば6月30日までの集計値、7月6日時点)で夏季の近海カツオ竿釣り漁の盛期に向けて増加傾向にあるものの、依然として前年を下回っている。
今年のカツオの体長組成を例年と比較すると特に大型の個体が多い。7月に気仙沼港に水揚げされたカツオは体長55−60cmが主体で、夏季に東北海域に北上すると考えられている体長45-50cm程度の群の出現頻度は例年と比べて低く(図7)、東北海域へ北上する魚群が少ないことが懸念される。7月に入っても近海竿釣りによるカツオ漁は伸び悩んでおり、7月15日時点で漁が続かなくなっている。このような状況下において、需要と供給のバランスから市場価格も上下する可能性があり、注視していく必要がある。