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vol.920

5月の産地市場における主要魚種の動向について

 全国主要港68港における主要11魚種の5月の水揚量は、マアジ・生鮮ビンナガで前年を上回り、 生鮮クロマグロ・生鮮メバチが前年並み、 マイワシ・カタクチイワシ・ウルメイワシ・さば類・生鮮スルメイカ・生鮮カツオ・生鮮キハダでは前年を下回った(表1)。
 平均価格は、マイワシ・さば類・生鮮カツオが前年よりも高く、 カタクチイワシ・ウルメイワシ・マアジ・生鮮スルメイカ・生鮮ビンナガ・生鮮クロマグロ・生鮮メバチ・生鮮キハダが前年並み〜安値であった。
 なお、本集計は6月4日現在の「おさかなひろば(JAFIC)」速報値による。

マイワシ

 5月の水揚量は、3万8千トンで前月の75%、前年の79%であったものの、 1〜5月累計水揚量は23万トンと過去6年で最高で、過去5年平均13万3千トンの1.7倍であった。
 5月中旬から道東で棒受網漁が始まったほか、三陸の定置網では5月下旬に水揚げが増加した。 日本海側では富山湾の定置網でまとまった水揚げがあった。
 平均価格は、水揚量が前月より減少したことや大型魚の割合が増加したこともあり、41円/kgで前年の28%高であった。

カタクチイワシ

 5月の水揚量は、860トンで前年の28%であった。1〜5月累計水揚量は、3千500トンと過去6年で最低であった。
 平均価格は、56円/kgで前年の8%安であった。

ウルメイワシ

 5月の水揚量は、270トンで前年の9%であった。1〜5月累計水揚量は、2千700トンと過去6年で最低であった。
 平均価格は、47円/kgで前年の30%安であった。

マアジ

 5月の水揚量は、1万3千トンで前年の1.2倍であった。 5月中旬頃からは、対馬沖〜山陰沖で脂肪量の多いマアジのまとまった漁獲が見られた。 5月に1万3千トンの水準の水揚げがみられるのは2018年以来、2年ぶりである。
 平均価格は、水揚量の増加もあり、171円/kgで前年の10%安であった。

さば類

 5月の水揚量は、1万7千トンで前年の47%であった。1〜5月累計水揚量は、17万トンと過去6年で最低であった。  太平洋中部水域のまき網漁は、マサバ主体に奈屋浦(三重)、沼津、小川(焼津)に水揚げされ、銚子にも運搬船で搬入された。 また、三陸では定置網やトロールによる漁獲も見られた。
 東シナ海や日本海では、好調なアジ漁にサイズの小さいサバが2〜3割混獲された程度で、5月も引き続き水揚げは低調に推移した。
 平均価格は、水揚量が少ないこともあり、89円/kgで前年の14%高であった。

生鮮スルメイカ

 5月の水揚量は、980トンで前年の80%であった。
 小型いか釣り船では、特に金沢への水揚げが5月中旬頃から増え始め、下旬には発泡2万箱以上の水揚げがあった。 バラサイズや30尾入りの小型サイズ主体で25尾入りや20尾入りの型の良いものも増加している。
 平均価格は、593円/kgで前年の7%安であった。

生鮮カツオ

 5月の水揚量は、1千400トンで前年の28%であった。1〜5月累計水揚量は、3千700トンと過去6年で最低であった。
 カツオ一本釣りはビンナガ主体で、カツオの水揚量は低調に推移したものの、 カツオの漁模様は3〜4月で1日1隻あたり1トン台から、5月後半には3〜4トンとやや上向いた。 まき網でも一部カツオの水揚げがあった。サイズは例年より大きい4kg台が主体で、漁場は伊豆諸島海域と近く、日帰り操業が主体で鮮度が良かった。
 平均価格は、水揚量の大幅な減少や前日物・当日物の割合が多かったことから、606円/kgで前年の78%高であった。

生鮮ビンナガ

 5月の水揚量は、1万800トンで前年の3.8倍であった。平均価格は、356円/kgで前年の15%安であった。
 今年は一本釣りで、例年より早い時期から好調な漁獲が見られ、1航海で60〜80トンの満船で帰港する船が大半であった。 また、普段はあまり漁獲のない大・中型まき網でもビンナガのまとまった漁獲が続いた。
 一本釣りのビンナガの価格は、5月下旬前半までは320〜390円台の高値を維持していた。 しかし、4月以降、豊漁が長く続いたことや、コロナ禍で缶詰原料としての輸出が一時的に止まったことから、 6月初めには一時100円台にまで下落したが、すぐに200円台まで戻している。

生鮮クロマグロ

 5月の水揚量は、450トンで前年並みであった。平均価格は、1520円/kgで前年の10%安であった。
 紀伊勝浦や油津に小型延縄船が水揚げしたクロマグロは、新型コロナウイルス感染拡大に伴う外食需要激減で、 3〜5月の相場は例年の1/2〜1/3の低価格に留めた。 また、大中型まき網によるクロマグロの漁獲が散発的にあり、塩釜を中心に気仙沼や石巻に水揚げされた。

生鮮メバチ

 5月の水揚量は、340トンで前年並みであった。平均価格は、721円/kgで前年の17%安であった。

生鮮キハダ

 5月の水揚量は、880トンで前年の63%であった。大・中型まき網は、今期はビンナガが好調なこともあり、 キハダ・キメジの水揚げが少なかった。
 平均価格は、494円/kgで前年の21%安であった。
 養殖クロマグロ・養殖ミナミマグロや養殖サーモンの需要が強まったこともあり、 昨年秋頃から冷凍メバチ・冷凍キハダの赤身系の刺身需要が大幅に落ち込んでいる。 このため、末端での売れ行きが悪く、在庫が動いていないことから、冷凍キハダの相場が下落しており、 生鮮キハダの価格もそれに引きずられた格好となっている。

   (水産情報部)
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