今年のスルメイカの水揚量は、1月に前年を上回り、3月に前年、6年平均を上回った他は、前年、6年平均を下回っており、
近年の不漁年の中でも低水準となっている(表1、図1、図2)。価格は、一昨年を上回っているが、月末在庫量が高水準なこともあり、
今年より水揚量が多かった前年を下回って推移している(図3、図4)。
産地別の1〜5月の水揚量は、金沢が947トンでJAFICの調査地の中で最も多く、次いで松浦、石巻、宮古、浜田と続いている(図5)。
金沢では、5月の水揚量は842トンで前年を下回ったが、一昨年を大きく上回った(図6、図7)。
長崎県水産総合試験場の情報によると、壱岐勝本では今年の2月末と3月末の週に60トンを超える水揚げがあったが、
これは2015年4月以降で2番目と3番目に多い水揚量で、年別水揚量では2016年以降で最多となった(図8、図9)。
また、山口県特牛では、2015年を大きく下回っているものの、前年、一昨年を上回る水揚げとなっている(図10)。
スルメイカは対馬暖流の3つの大きな流れ(朝鮮半島東岸北上ルート、大和堆ルート、日本沿岸ルート)を北上するが、
今年は大和堆ルートが不明瞭であり、大和堆への回遊が阻害されている可能性がある。
また前年から今年にかけて、若狭湾沖では近年と比較して冷水が沖から舌状に大きく入り込んでおり、石川県付近にスルメイカが滞留し、
金沢で漁獲が増加傾向となった可能性が考えられる。
近年のスルメイカ水揚量は長期にわたって減少傾向が続いているが、壱岐勝本、特牛、金沢での局地的な増加が、
全国のスルメイカ水揚量の増加へ転じる兆しであることを期待する。