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vol.917

5月のマイワシとさば類の漁況について

1.太平洋側のマイワシについて

〇道東各港:5月11日からさけます代替棒受網漁業が開始された。東北沖の北上暖水の影響もあり、 今年は道東沖合に漁場ができるので昨年よりも2週間以上早かった(昨年は5月29日)。 漁場は釧路南沖で、漁場の表面水温は6℃であったが、水深20〜30mの水温は9〜10℃でマイワシの漁場になった。 魚体組成は体重100g台10%、80g台20〜50%、60g台40〜60%で大型魚は少なかった。価格は30〜70円/kg台であった。

〇石巻港:5月の水揚量は4月を下回るとともに、前年を下回った(前年比48%)(表1)。 体長組成は17cm前後主体で、20cmにもモードが見られた(図1)。5月も石巻は定置網による水揚げが主体で、まき網による水揚げはなかった。 〇銚子港:5月の水揚量は4月を下回るとともに、前年を下回った(前年比74%)(表2)(図2)。 漁場は3、4月に引き続き、銚子沖に形成された。体長は19cm前後主体で、(図3)、体重は85g前後と110g前後にモードが見られた(図4)。 4月よりさらに大型魚の割合が増え、産卵を終えた群が銚子沖を北上していると考えられる。

2.日本海側のマイワシについて

〇境港:4月に引き続き、隠岐海峡周辺で大・中型まき網の操業が行われ、5月の水揚量は4月を下回ったものの、前年を上回った(前年比37.6倍)。 水揚量は3月をピークに減少しているが、前年と比較すると好調であった。5月は同漁場でウルメイワシやカタクチイワシ狙いの操業があった。

3.太平洋側のさば類について

〇石巻港:5月の漁獲量は4月を上回ったものの、前年を下回った(前年比43%)(表4)。 まき網による漁獲はなく、定置網、底曳網のみであった。定置網、沖合底曳網ともに水揚物の尾叉長は30cm以上であった(図5)。 〇銚子港:5月の水揚量は4月を下回ったものの、前年並であった(前年比93%)(表5)。 銚子沖二艘巻き網と中部海区操業一艘まき網による水揚げが主体であった。 5月下旬の銚子沖操業分のマサバの尾叉長組成は34cm前後主体で、25cmにもモードがみられた(図6)。 〇三重県奈屋浦港:5月の水揚量は4月の水揚量を下回るとともに、前年を下回った(前年比45%)(表6)(図7)。 5月末までさば類の水揚げがあったが、徐々に水揚物の主体は他魚種に変化した。 〇宮崎県北浦港:5月の水揚げ量は4月を下回るとともに、前年を下回った(前年比34%)(表7)(図8)。 5月下旬ごろから水揚物の主体は他魚種に切り替わった。

4.日本海および東シナ海側のマサバについて

○松浦港:5月の水揚量は4月を上回るとともに、前年も上回った(前年比142%)(表8)(図9) 。 5月は東シナ海と対馬海域主体の操業で、九州西沖でも操業があった。 東シナ海、対馬海域操業に関わらず、水揚物の尾叉長は28cm主体、体重は300g前後主体であった(図10)(図11)。

5.まとめ

 太平洋側のマイワシは、石巻港の水揚状況、銚子沖のまき網漁場の位置から判断すると、 産卵を終えた群で東北海域に北上したマイワシは例年に比べると少なく、北上が遅れていることが考えられる。 一方で、5月11日から道東でマイワシ棒受網漁が開始され、中羽、小羽主体に漁場が形成された。 東北沖合に9〜10℃の北上暖水が存在し、釧路沖に暖水塊があることから、相対的に豊度が高い当歳魚や1歳魚を中心に、 昨年よりも早く道東沖合にマイワシ漁場が形成されたと考えられる。
 太平洋側のマサバは奈屋浦や北浦では5月下旬にはマサバ以外の魚種が水揚げ物の主体となり、 産卵を終えた群は東北海域へ北上したと考えられる。東北海域におけるまき網での漁獲は少なかったものの、 定置網や底曳網での漁獲は多く、このことを反映したものであると考えられる。
 中西部日本海においては、マイワシは5月も引き続き好調であった。 また、マイワシに加え、輸出の需要の高まりから値段が高騰したウルメイワシやカタクチイワシ狙いの操業があった。 東シナ海、対馬海域ではマアジ、さば類が漁獲された。 さば類は引き続き、低調な漁模様続いているが、マアジは前年同月を上回り、好調な漁模様であり、今後も期待される。

   (水産情報部)
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