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vol.915

1〜4月の産地市場における主要魚種の動向について

産地全体

 1〜4月までの全国主要港68港の水揚量は、55万8千トンで、前年同期の63万8千トンを12%下回った。 2015年以降では最も少なく、過去5年平均の91%にとどまった。
 平均価格は、水揚量の減少にともない、多くの魚種で過去5年平均を上回り、2015年以降で最高値であるものも多かった。 一方、高級魚を中心に一部の魚種では、新型コロナウイルスの感染拡大を受け、 ホテルや飲食店向けの需要の低下やスーパー・百貨店の営業時間短縮の影響により、相場が下がった。

マアジ

 1〜4月までのマアジの全国主要港の水揚量は、前年同期(2万6千トン)を14%下回る2万2千トンであった。 過去5年平均と比較すると26%少なく、2015年以降で最低の水揚量であった。
 平均価格は、山陰沖ではマイワシ漁に、東シナ海ではブリ漁に漁獲努力が向いたことや、時化による休漁も多く、 特に3、4月は例年よりも低調な漁模様であった。このため、前年同期(199円/kg)の12%高の223円/kgで、2015年以降で最も高い価格であった。

さば類

 1〜4月までのさば類の全国主要港の水揚量は、前年同期(20万2千トン)を34%下回る13万3千トンであった。 東シナ海から日本海側で不漁であったため、過去5年平均と比較すると38%少なく、2015年以降で最低であった。
 平均価格は、前年同期(104円/kg)並みの103円/kgであったものの、全国的に水揚量が少なかったため、過去5年平均の27%高であった。

マイワシ

 1〜4月までのマイワシの全国主要港の水揚量は、前年同期(14万1千トン)の2.2倍の19万2千トンであった。 1〜4月にかけて常磐沖・山陰沖・若狭湾・富山湾など全国的にまとまった漁獲が見られ、過去5年平均を36%上回り、 2015年以降で最も好調であった。
 水揚量が増加したものの値段は崩れず、平均価格は、前年同期並みの45円/kgであった。

カタクチイワシ

 1〜4月までのカタクチイワシの全国主要港の水揚量は、前年同期(7千900トン)を63%下回る2千400トンであった。 過去5年平均を70%下回り、2015年以降で最低の水揚量であり、好調なマイワシ漁とは対象的に減少傾向が続いている。
 平均価格は、前年同期(54円/kg)の57%高の79円/kgであった。極めて低調な漁模様であったことから、 過去5年平均の47%高で、2015年以降で最も高かった。
 カタクチイワシはカツオ一本釣りの餌としても重要であり、これまでの漁模様から今年も餌不足が心配されている。

ウルメイワシ

 1〜4月までのウルメイワシの全国主要港の水揚量は、前年同期(8千700トン)を74%下回る2千300トンであった。 過去5年平均を78%下回り、2015年以降で最低の水揚量であった。
 平均価格は、前年同期(67円/kg)の31%高の87円/kgであった。 極めて低調な漁模様であったことから、過去5年平均と比べても46%高で、2015年以降で最も高かった。

カツオ

 1〜4月までの生鮮カツオの全国主要港の水揚量は2千100トンで、前年同期(5千100トン)の3割にとどまった。 今年は全般的に群れが薄く、北上期の小笠原諸島水域の漁場形成も皆無であった。また、例年より早い4月から 伊豆諸島水域でビンナガ漁が本格化した。このため水揚量は過去5年平均を59%下回り、2015年以降で最低であった。
 平均価格は、前年同期(420円/kg)の32%高の580円/kgであった。漁模様が極めて低調であったことや、 漁場が伊豆諸島水域と近いことから鮮度の良い新口(前日物・当日物)の水揚割合が増えたこと、 3kg台とサイズが大きいこともあり、過去5年平均の46%高で、2015年以降で最も高かった。

ビンナガ

 1〜4月までの生鮮ビンナガの全国主要港の水揚量は、前年同期(6千700トン)を28%上回る8千600トンであった。 過去5年平均を10%上回り、2015年に次いで水揚が多かった。
 平均価格は、前年同期(483円/kg)の12%安の427円/kgであった。カツオ一本釣りによるビンナガ漁が、 例年よりも伊豆諸島〜房総半島沖で漁獲がまとまるのが早く、4月から好調であったため、 過去5年平均の6%安と2015年に次いで安値であった。

メバチ

 1〜4月までの生鮮メバチの全国主要港の水揚量は、1千600トンで過去5年平均を13%下回るものの、 前年同期(1千700トン)並みであった。
 平均価格は、前年同期(1,236円/kg)の12%高の1,380円/kgであり、過去5年平均並みであった。

キハダ

 1〜4月までの生鮮キハダの全国主要港の水揚量は、前年同期(3千200トン)を46%下回る1千700トンであった。 過去5年平均と比較すると38%少なく、2015年以降で最低であった。
 平均価格は、前年同期(938円/kg)の16%高の1,087円/kgであった。 水揚が低調であったことから、過去5年平均の24%高で、2015年以降で最も高かった。

ブリ

 1〜4月までのブリの全国主要港の水揚量は、前年同期(1万6千トン)を16%上回る1万8千トンで、 過去5年平均並みであった。3〜4月は東シナ海中南部や五島沖で、産卵群を対象にまき網で漁獲し、 4月以降は対馬沖や山陰沖ではまき網で、四国沖や三重沖では定置網でも好調な漁獲がみられた。
 平均価格は、前年同期(314円/kg)の21%安の248円/kgで過去5年平均の8%安であった。

さわら類

 1〜4月までのさわら類の全国主要港の水揚量は、前年同期(510トン)をやや上回る550トンであった。 過去5年平均と比較すると38%少なかった。
 平均価格は、新型コロナウイルスの感染拡大による外食需要の減少やスーパーの営業自粛の影響を受け、 前年同期(690円/kg)の5%安の657円/kgで、過去5年平均と比べても4%安であった。

生鮮スルメイカ

 1〜4月までの生鮮スルメイカの全国主要港の水揚量は、前年同期(1千750トン)をやや上回る1千800トンであったものの、 過去5年平均より40%少なく、前年に続き低調な水揚であった。なお、本集計には含まれていないものの、 富山湾や佐渡の定置網では、例年より遅く4月末まで好調な入網が続いた。
 平均価格は、前年同期(690円/kg)の3%高の609円/kgであった。 また、過去5年平均の59%高と最も不漁であった2017年に次ぐ高値であった。

冷凍スルメイカ

 1〜4月までの冷凍スルメイカの全国主要港の水揚量は、過去5年で最低であった前年同期(930トン)を やや上回る1千トンであった。年明けの三陸近海域のアカイカの冬季漁が不漁で、アカイカ漁を切り上げた船の一部が 日本海のスルメイカ漁に廻ったものの、水揚量は過去5年平均を63%下回る低調な漁模様となった。
 平均価格は、前年同期(703円/kg)の46%高の1,030円/kgであった。これは過去5年平均の2.8倍で、 2015年以降で最も高かった

ヤリイカ

 1〜4月までのヤリイカの全国主要港の水揚量は、前年同期(1千200トン)を12%下回る1千トンで、 過去5年平均並みであった。
 三陸〜常磐物のヤリイカは、スルメイカの不漁を受け、代替魚種として需要が年々強くなっている。 このため、平均価格は前年同期(732円/kg)の3%高の750円/kgで、過去5年平均を9%上回った。

ホタルイカ

 1〜4月までのホタルイカの全国主要港の水揚量は、前年同期(1千500トン)を24%上回る1千900トンで、 過去5年平均を9%上回った。
 平均価格は、富山湾・山陰の豊漁や新型コロナウイルスの感染拡大による外食需要の減少の影響もあり、 前年同期(616円/kg)の49%安の313円/kgで、過去5年平均の44%安と2015年以降で最も安値であった。

マダラ

 1〜4月までのマダラの全国主要港の水揚量は、前年同期(1万6千トン)を10%下回る1万4千トンで、 過去5年平均並みであった。
 平均価格は、新型コロナウイルスの感染拡大による外食需要の減少やスーパーの営業自粛の影響を受け、 前年同期(205円/kg)の17%安の169円/kgで、過去5年平均の37%安と2015年以降で最も安値であった。

スケトウダラ

 1〜4月までのスケトウダラの全国主要港の水揚量は、前年同期(2万5千トン)をやや上回る2万6千トンで、 過去5年平均と比較すると8%少なかった。
 平均価格は、新型コロナウイルスの感染拡大により輸出が滞ったことから、前年同期(87円/kg)の28%安の62円/kgであった。 また、過去5年平均の28%安と2015年以降で最も安値であった。

ヒラメ

 1〜4月までの天然ヒラメの全国主要港の水揚量は、前年同期(470トン)を12%下回る410トンで、 過去5年平均を22%下回り、2015年以降で最も少なかった。
 平均価格は、新型コロナウイルスの感染拡大による外食需要の減少やスーパーの営業自粛の影響により、 前年同期(1,181円/kg)の12%安の1,034円/kg、過去5年平均と比べても16%安で、2015年以降で最も安値であった。

カレイ

 1〜4月までのかれい類の全国主要港の水揚量は、前年同期(4千700トン)を16%下回る4千トンで、 過去5年平均並みであった。
 平均価格は、新型コロナウイルスの感染拡大による外食需要の減少やスーパーの営業自粛の影響を受け、 前年同期(269円/kg)並みの263円/kgで、過去5年平均の22%安と2015年以降で最も安値であった。

オキアミ

 1〜4月までのオキアミの全国主要港の水揚量は、前年同期(1万9千トン)を90%下回る1千700トンであった。 過去5年平均と比べても91%下回っており、2015年以降で最低の水揚量であった。
 平均価格は前年同期(52円/kg)の85%高の97円/kgで、過去5年平均の59%高であった。
 オキアミは近年、養殖魚の餌としての需要が低下し、食用向け(素干しや煎餅等)の割合が増加している。

イカナゴ

 1〜4月までのイカナゴの全国主要港の水揚量は、前年同期(120トン)を95%下回る僅か6トンであった。 瀬戸内海や三河湾のコウナゴ漁は近年大不漁が続いている一方、ここ数年は常磐沖のコウナゴ漁の豊漁が続き、 代替産地として高値で取引されてきた。しかし、今期は常磐沖でもほとんど水揚がなく、 瀬戸内・三河湾も含め全国的に記録的な不漁となった。
 平均価格は、前年同期(993円/kg)の36%高の1,346円/kgで、過去5年平均の3.7倍で、2015年以降最も高値であった (北海道・三陸のオオナゴを含む)。

   (水産情報部)
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