今年の近海カツオ竿釣り漁場は、1月は操業がみられず、2月は奄美〜薩南海域を主漁場に小笠原南西沖で
カツオ大主体に中、特大、小、極小他を対象に平均1.6トン/隻・日と極めて低調だった。
3月は、沖縄、奄美、薩南、九州南東岸を主漁場に伊豆諸島付近にも漁場が形成されたが、
漁獲はカツオ特大主体に大、特々大、中、キハダ(シビ・仔)他を対象に平均2.1トン/隻・日と引き続き低調だった。
4月(図1)は前半、伊豆諸島付近が主漁場となり、熊野灘沿岸にも漁場が形成された。
後半は、熊野灘沿岸が主漁場となった。漁獲は、ビンナガ中主体に小、大、カツオ小、中他が対象となり、
平均漁獲量は6.6トン/隻・日に増加し、前年(3.0トン/隻・日)を上回った。
5月前半(1〜13日)(図2)は、熊野灘沿岸での操業がほぼなくなり、伊豆諸島南沖〜房総半島南東沖が主漁場となって、
漁場は次第に北上した。漁獲は、ビンナガ中主体に大、カツオ中、小、ビンナガ小他を対象に平均9.1トン/隻・日となり、
前年(平均4.6トン/隻・日)を上回った(図3)。また、12日以降は房総半島東沖の黒潮続流域が主漁場となり、
この海域ではビンナガ中主体に大、小を平均30トン/隻・日を超える好漁となった。
1〜4月のカツオ(釣り)の全国主要港の水揚量は、1,895.6トン(表1、図4)で、前年を大きく下回り、過去6年で最低となった。
産地別では、鹿児島で1,009トンの水揚で前年比67%、御前崎では126トンで前年比48%、房州勝浦では760トンで26%となり、東の産地ほど低調だった。
カツオ(釣り)の価格(表1)は、不漁と在庫量(表3、図6)が少ないこともあり、2月は613円/kgで前年比200%、
3月は601円/kgで前年比140%、4月は546円/kgで前年比124%となった。
ビンナガの水揚量(全国)(表4)は、近海竿釣りでの漁獲がほぼ無かった1〜3月は、月1,500〜1,700トン台で前年を下回っていたが、
竿釣りでの漁獲が増加した4月は3,646トンとなり、前年比331%となった。産地別(表5)では、房州勝浦が過半数を占めており、
4月に2,559トンの水揚があった。房州勝浦の1〜3月の累計水揚が237トンであることから4月の近海竿釣りによる水揚は、
2,000トンを超えているものと思われる。
今年の近海竿釣りのカツオは低調に推移しているが、4月以降ビンナガが増加してきており、特に5月12日以降、
房総半島東沖で平均30トン/隻・日を超える好漁となっていることから、今後の漁に期待が持たれる。