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vol.893

2019年度の道東まき網の操業状況について

1.操業概要


 2019 年の道東海域でのまき網漁は6月25日から10月31日まで行われた。操業統数は最盛期には24ヶ統に上った。 主漁期は10月、漁獲はマイワシ主体で、漁期を通して漁獲された。さば類はほとんどがマサバで、漁獲は10月下旬が中心であった(図1)。 マイワシは漁期全体で21.8万トン漁獲され、1991年以来28年ぶりに20万トンを超えた。道東各港(釧路、広尾、厚岸)の他、八戸や気仙沼、 大船渡にも水揚げされた。しかし、本年は魚群のまとまりが悪く、1網当たりの漁獲量(CPUE)は前年を下回る月が多かった。

2.海況


 7月下旬から8月下旬にかけて、東経144°付近の暖水塊が北緯42°付近まで北上したが、道東沿岸では親潮系冷水が拡大した。 9月上旬から10月下旬にかけて、親潮がさらに発達し、道東沿岸を南下することで、道東沿岸の水温は低下した(図2)。

3.漁場形成

 道東海域のまき網漁場は、7〜9月中旬は釧路〜厚岸沖に広がり、漁場水温は7月10〜12℃、8月15〜17℃であった。 9月中旬〜10月中旬は白糠〜浜中沖に漁場が形成され、東西に広がった。10月下旬は再び厚岸沖にまとまり、さば類も漁獲された。 漁場水温は9月15〜19℃、10月10〜17℃であった。親潮冷水が道東沿岸で拡大し、マイワシの適水温帯が広がったため、魚群は分散傾向を示した。

4.魚体組成

 6月27日の道東まき網(釧路水揚)のマイワシの体長は17cmと20cmモードで、20cm以上(3歳魚以上)が主体であった。 道東沖のたもすくい漁の水揚げ物の体長は6月にはまき網同様に20cm以上主体であったが、7、8月は20cm以上が見られなくなり、 18〜19cm前後(2歳魚)主体で15〜16cm(1歳魚)も漁獲された。9月上旬から徐々に20cm前後も増え始めた(図3)。 漁期を通じて主体となり、多く漁獲されたのは18〜19cm(2歳魚)で次いで15〜16cm(1歳魚)であった。  また、今年は前年の同体長のものと比較すると、2歳魚以上で20〜40gとやせている傾向があった(図4)。これがマイワシの資源量増加による魚体への 影響(密度効果)か、餌や水温等の環境変化によるものかは今後注視していく必要がある。

   (漁海況部)
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