三陸主要各港における5月のマイワシ漁獲量は8,579トンで前年(13,223トン)の70%であった(表1)。常磐・鹿島主要各港におけるマイワシ漁獲量は32,784トンで前年同期(20,336トン)の約1.6倍であった(表2)。合計では41,363トンで前年(33,559トン)の1.2倍であった。
金華山水道部で今年5月上旬に定置網により水揚げされたマイワシの体長組成は12〜22cm(1〜4歳魚、2018〜2015級群)が主体で、前年同期の田代島での水揚物の体長組成は14〜21cm(1〜4歳魚)のうち1〜2歳魚が多かった(図1)。飯岡沖で今年5月下旬にまき網により水揚げされたマイワシの体長組成は16〜18cm(1〜2歳魚、2018〜2017年級群)が主体、前年同期の常磐沖での水揚物は14〜16cm(1歳魚、2017年級群)が主体であった(図2)。
前年5月上旬は東北沖の定置網において1歳魚と2歳魚が水揚されていたが、今年は1歳魚主体の水揚であった。
今年の5月下旬の常磐沖まき網の水揚物は前年の水揚物よりも少し大きかった。このように今年は2歳魚が多く見られた。
常磐沿岸〜三陸北部沿岸は前年よりも2〜3℃低く、その沖合には2〜5℃高い海域が見られた。平年と比較すると、常磐沿岸は1〜2℃低かった。前年よりも親潮が強く沿岸の水温が低くなっていると考えられる。
5月の漁獲量は三陸各港では前年を下回り、常磐・鹿島各港では前年を上回った。前年は東北沖の水温が高く、マイワシの北上が早かったため、5月中旬には小名浜に漁場が形成されていた。一方、今年の5月は前年に比べて東北沖の水温が低く、常磐・鹿島沖に13〜14℃の温度帯が存在し、継続してマイワシ漁場となっていた。このような水温の違いによるマイワシの北上の早さの違いから三陸各港、常磐・鹿島各港で前年と漁獲量に違いがでたものと考えられる。