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vol.861
2018年7月における北部太平洋のマイワシ漁獲状況
1.マイワシ漁獲状況概要
(1)道東海域
7月11日に小型棒受網、7月18日に大中型まき網によるマイワシの水揚があり、まき網については昨年よりも1ヶ月はやかった。
2018年7月の道東沖におけるマイワシ漁獲量(大中型まき網、さけます代替棒受網、小型棒受網、たもすくい網による)は6,195トンであり、
前年同期(3,085トン)の2.0倍であった(表1)。7月31日の表面水温分布図によると、釧路沖から落石沖まで、水温12〜13℃が広がり漁場になったと
考えられる(道東出張所による聞き取り)。6月は漁場水温が9〜10℃であったが、7月には1〜2℃昇温した。
(2)三陸常磐海域
八戸から石巻における主要港(8か所)のマイワシの7月の水揚量は16,170トンで前年同期(12,672トン)の1.3倍であった(表2)。
小名浜から銚子における主要港(4か所)のマイワシの水揚量は18,913トンで前年同期(10,027トン)の1.9倍であった(表3)。
2.マイワシの体長組成
(1)道東海域
釧路沖で今年7月にたもすくい網によって漁獲され、釧路港に水揚されたマイワシの体長組成は17〜20cm(1〜2歳魚)が主体であった。
前年7月にたもすくい網によって水揚されたマイワシの体長組成は18〜20cm(2〜3歳魚)が主体であった(図1)。
今年は4月頃から15℃台の暖水が三陸沿岸に張り出し、マイワシの北上が早かったと推定される。また、前年に比べて若齢魚の資源量が多いため、
今年は1、2歳魚中心の水揚になったと考えられる。
また、釧路沖で漁獲されたマイワシは体重50g台(1歳魚と考えられる)が9割を占め、100g以上の個体は少なかった。
釧路沖の漁場水温は花咲沖よりも1〜2℃高く、釧路沖で漁獲されたマイワシは体重が低い個体が多くなったと考えられる。
(2)三陸海域
石巻沖で今年7月に定置網によって水揚されたマイワシの体長組成は10〜13cm(0歳魚)、15〜17cm(1歳魚)主体であった。
前年同期は14〜16cm(1歳魚)であり、まき網では20cm以上(3歳魚)も漁獲された。6月と同様に三陸沖の水温の上昇が早かったため
前年よりも小型魚が主体となったと考えられる(図2)。
(2)常磐海域
常磐海域で今年7月にまき網で漁獲されたマイワシの体長組成は10〜13cm(0歳魚)、15〜17cm(1歳魚)が主体であった。
前年は17〜21cm(1〜2歳魚)が主体であった(図3)。
今年7月は前年同期には漁獲されていなかった0歳魚の割合が高かった。前年は8月後半から9月頃に0歳魚が水揚されていたのに比べると、今年は大幅に早かった。三陸沖と同様に水温の上昇が早く、常磐海域の水温が1〜2℃高く、さらに北上している0歳魚が多いためと考えられる。
(漁海況部 藤井椋子)
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