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vol.859

2018年6月の北部太平洋のマイワシ漁獲状況

  三陸海域 0歳魚 漁獲!

1.マイワシ漁獲状況概要



(1)道東海域
 2018年6月のさけます代替棒受網漁業によるマイワシの水揚量は1,454トンであり、前年(1,407トン)並みであった(表1)。6月29日の表面水温分布図によると、道東海域では、昨年は10℃以下の南端が落石岬の30海里であったが、今年は落石岬10海里であった。また昨年とは異なり、10℃の温度帯が沿岸に分布しており、道東沿岸は前年よりも水温が高かった。道東沖の表面水温は、5月から1〜2℃昇温した。



(2)三陸常磐海域
 宮古から石巻における主要港(6か所)のマイワシの6月の水揚量は6,370トンで前年(6,619トン)と同等であった(表2)。小名浜から銚子における主要港(4か所)のマイワシの水揚量は15,627トンで前年(18,138トン)の86%であった(表3)。5月よりも三陸海域の水揚量が増え、常磐海域の水揚量が減っていた。



2.マイワシの体長組成


 常磐海域で今年6月に水揚されたマイワシの体長組成は15〜17cm(1歳)が主体であった。前年は17〜20cm(1〜2歳)であった(図1)。
 今年6月の三陸海域で6月前半に水揚されたマイワシの体長組成も15〜17cm(1歳)が主体であった。前年は18〜20cm(2歳)、20〜23cm(3歳)が主体であった(図2)。また、6月後半は1歳魚に加え、10〜12cm(0歳)が主体になる日もあった。前年は19〜21cm(2〜3歳)が主体であった(図3)。
 道東海域で6月後半に水揚されたマイワシの体重は100g台が主体で3歳魚である。また、7月の体長組成は18〜21cm(2〜3歳)が主体であった。6月の体長組成は18〜24cm(3歳)が主体であった。
 今年は三陸常磐沖の水温の上昇が早かったため、大型のマイワシは前年に比べて早く親潮域に北上し、このような体長組成になったと考えられる。6月下旬の道東沖の水温は10〜12℃と前年よりも高く、このことから6月上旬に道東沖で見られた3歳以上のマイワシは6月下旬には道東よりもさらに北西の親潮域に移動していると考えられる。また、今年は昨年とは大きく異なり、6月下旬に金華山沖定置網で0歳魚が水揚された。




3.道東マイワシの価格変動


 花咲市場におけるマイワシの1日1隻当たりの水揚量の変化をみると、6月前半は1日1隻当たりの漁獲量が8〜16トンであったが、6月後半は4〜6トンに減少した。それに伴って1キロ当たりの価格の最高値も6月上旬は50円前後であったが、6月中旬から価格が上がり、16日に最高値である702円にまで達し、6月下旬にかけては100円〜200円で推移した(図5)。花咲市場におけるこのような傾向から1日1隻当たりの漁獲量が少ないと価格が高騰する傾向があることが考えられ、特に時化後の水揚ではその傾向が強いことが考えられる。



             (漁海況部 藤井椋子)

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