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vol.856

2018年5月における北部太平洋のマイワシ漁獲状況

1.マイワシ漁獲状況概要

(1)道東海域
 今年のさけます代替棒受網漁業による水揚は、花咲、厚岸にて5月22日から始まり、昨年(5月18日、釧路)よりも遅かった。5月31日の表面水温分布図によると、道東海域では10℃以下の北限が昨年は落石岬南150海里であったのに比べて、今年は落石岬30海里付近に位置しており、昨年よりも漁場が近かった。5月の花咲から広尾における主要港(4か所)のマイワシの水揚量は239トンで前年(159トン)の1.5倍であった(表1)。



(2)三陸常磐沖
 宮古から石巻における主要港(6か所)のマイワシの5月の水揚量は13,040トンで前年(2,656トン)の4.9倍であった(表2)。小名浜から銚子におけるマイワシの水揚量は20,334トンで前年(26,019トン)の0.8倍であった(表3)。このように石巻以北では昨年よりも水揚量が少なく、以南では昨年よりも多い結果となった。
 昨年の5月中旬の銚子沖の表面水温は15〜17℃であったのに比べて、今年の5月中旬は17〜20℃であり、昨年よりも銚子沖の水温は2〜3℃高かった。また、昨年は5月下旬から金華山沖がマイワシのまき網漁場になっていたのに比べ、今年は5月中旬にはすでに小名浜沖が漁場になっており、昨年に比べて漁場の北上が早かった。
 漁場の北上が早かったため今年5月の道東沖、石巻以北における水揚は前年よりも多く、常磐沖における水揚は少なかったと考えられる。



(3)マイワシの体長組成
 5月下旬の銚子沖におけるマイワシの体長組成は14〜16.5cm(1歳)が主体であった。前年の5月下旬は17〜20cm(2歳以上)が主体であったのに比べると今年は小型のものが多く水揚された(図1)。マイワシは産卵を終えた17〜20cm以上(2歳以上)のものから北上をはじめる特徴がある。(2)でも述べたように今年の銚子沖の水温上昇が早く、大型のものは北上をはじめたため、銚子沖の水揚物は小型のものが多かったのではないかと考えられる。
 金華山沖で操業されたまき網の水揚物の体長組成の主体は18〜22cm(2歳以上)であった(図2)。5月下旬には女川沿岸には表面水温9〜10℃台が広がり、マイワシまき網漁場になっていたため、産卵を終えた大型のものからこの水温帯を通り、北上をはじめたと考えられる。




2.今後の予測

 5月下旬には花咲〜厚岸沖13〜26海里(表面水温7℃台)がマイワシのさけ・ます代替棒受網漁業の漁場になっており、今後さらに水温が上がると、北上した17〜20cm(2歳以上)等の大型のものが水揚されると考えられる。また、銚子沖では大型の個体が三陸沖、道東沖まで北上するため、夏にかけて14〜17cm(1歳)等の小型のものが水揚の主体になると考えられる。


             (漁海況部 藤井椋子)

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