近年、春期のカツオ竿釣りでビンナガ狙いの操業が増加している。
春季の本州南(特定海域;図1)で延縄漁により漁獲された3歳魚のビンナガのCPUE(※1)が、秋季の東北海域で竿釣りにより漁獲される4歳魚のCPUE(※2)と関係している。
平成2 年度ビンナガ研究協議会に遠洋水産研究所が提出した資料「和歌山県勝浦魚市場日別水揚量からみた伊豆列島西側漁場におけるビンナガ銘柄別(年齢換算)釣獲率(CPUE)の変化(1〜3 月)藁科・田中」の方法に基づいて解析を行った。
(※1) 延縄釣鈎100 本あたりの漁獲尾数
(※2) 竿釣り1日1隻当たりの漁獲量
和歌山県勝浦魚市場に水揚されたビンナガに関する相場表に記載された諸データ(操業日、操業位置、操業回数、漁獲量、使用鈎数)。
ビンナガの銘柄別の漁獲量と漁獲尾数から平均体重(kg)を算出して、以下の条件で年齢別に換算した。 (毎年6月に年齢が1歳上がる) 平均体重 年齢(はえ縄 年齢(竿釣り) 15kg以上 5歳魚以上 →6歳魚以上 10kg〜15s未満 4歳魚 →5歳魚 6kg〜10kg未満 3歳魚 →4歳魚 6kg未満 2歳魚以下 →3歳魚 対象海域内のデータを用いて、旬別・年齢別に漁獲尾数と使用鈎数を集計して、以下の方法で年齢別釣獲率(CPUE)を算出した。 年齢別釣獲率=100×(期間(旬)の入港船の年齢毎の漁獲尾数の合計)÷(期間(旬)の入港船が使用した鈎数(有漁)の合計)
2018年の特定水域のはえ縄によるビンナガのCPUEは、3歳魚(実線)に着目すると低水準であった昨年を下回るが、
近年最低であった2016年をやや上回る結果となった。本年夏・秋季に東北海域で竿釣りにより漁獲されるビンナガも
このような傾向が予想される。
(参考)
3歳魚(実線)のCPUEは、2月上旬まで低水準で推移し、その後3月上旬にピークを迎えたが、その後も低水準のまま減少傾向を示した。
(本田 修)