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vol.842

コラム 昭和の終わり頃(昭和56,57,58年)のサンマ漁

コラム 昭和の終わり頃(昭和56,57,58年)のサンマ漁

 本田は、今から35年くらい前の昭和56,57,58年の3年間、8月中旬から9月末まで根室市花咲港に駐在してサンマに係る漁海況調査を行った。主な業務は入港船からの漁海況聞き取りとサンマ体長測定である。

 個人の感想ではあるが、当時のサンマ漁の様子が本年の漁海況の経過とよく似ているように思えてならない。たとえば8月の解禁当初の漁場位置、漁獲水温、体長・体重組成である。

 当時はサンマ漁が解禁となると、各船は千島列島に沿って北東に進み、ウルップ島東付近(46°N・152°E)で群に当たり操業を開始した。漁獲水温は10℃以下で、5℃台での操業もみられた。当初の漁況は不安定でおおむね低調に推移した。魚体長は大型(29p以上=1才魚)が少なく、中・小型・ジャミ(0才魚)主体の漁獲が続いた。当時の市場では体重120gで“大型”、140gは“特大”に分類されていたと記憶している。

 ここまで書くと、本年の漁況経過や魚体組成と似ていることが分かると思う。ただ、当時は南下の始まる9月に入ると群の補給もみられ漁況は徐々に上向いてゆき、魚体も大・中・小がおおむね同率に変化して、最終的に年間漁獲量は16〜23万トンに達した。

 本年は、9月中旬に入ってもなお漁況は低調に推移しており、魚体も150g以上は極めて少なく,長さはあるが痩せている。公海まで足を延ばす船が出てきたり、品不足のためサンマ祭りが中止となったり、秋の主力惣菜であるサンマがスーパーの広告から消えたりと、異例の事態が続いている。しかし、本田の感覚では“サンマの漁獲は年により大きく変化する”ものであり、外国漁船の影響も懸念材料であるものの,本年の不漁も大きな資源と環境変動の中のひとつととらえ、希望的観測も含めて“今年は35年ほど前にもあった現象に近い”と思いながら漁況の推移に注目しているところである。

                                                                (本田 修;常務理事)

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