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vol.834

銚子駐在員報告(平成29年3月)

1.概要

 千葉県銚子漁港駐在のJAFIC調査員による3月のトピックスをお知らせします。

(1)一艘まき網
 2月からドック入りする船が出始め、3月も全般に操業船は少ない。上旬は漁況好調で、4,000トン/日超えが多く臨時休漁が4回実施された。しかし、時化も多く3月は8日間のみの出漁となった。
 上旬はサバ漁が中心。茨城県海面の久慈〜玉田〜鹿島沖でサバの大群があり好漁となった。一部は日立沖〜一の島東沖で操業、中羽イワシをまとまって漁獲した。
 中旬にはサバ群が深いうえに薄群となり漁況はやや低調なった。その後時化が続き、サバ群がなくなり各船中羽イワシ漁に切り替えて再び好調となった。
 今月は大量入網が多いものの、※群の素性が悪いので網揚げ困難や破網も発生した。
(2)二艘まき網
 3月は9日間の出漁。
 上旬はサバ、中羽イワシ漁場が遠方であったこと、群の素状が悪いこともありイナダ漁に向かったが、群少なく一の島近海で若干の漁獲。その後イナダ群は発見されず、中羽イワシ漁(サバ混じり)に切り替え、船間差の大きい漁獲となった。
 中旬には一の島で中羽イワシ漁の中、一部がサバ、中羽イワシ混じりを漁獲した。その後は時化が続いた。
 下旬には一の島及び犬吠埼近海でイナダを若干漁獲。サワラの混じりがみられた。

2.さば類

(1)漁況
 @上旬
  茨城県海面の久慈沖(一の島N43海里)〜玉田、汲上沖(一の島N32〜N/E15海里 12.6〜14.2℃)に漁場形成がみられた。
  サバは大群で1網30〜400トン、大半が100トン以上、150トン以上もみられた。入網量が400トン以上もあったが群の素性が悪く揚網が困難となり破網する船があった。
 A中旬〜下旬
  12日晩のサバ群は深く薄群となったため、1網20〜150トン、大半が100トン以下の漁獲。その後は時化続きで20日晩の出漁では群の発見がなくなった。
(2)魚体
  130〜920g、200g中心で300g以上3〜15%で、100g台が10〜15%もみられた。
(3)魚価
  魚価は79.4〜38.7円/s、平均64〜44.2円/sで推移した。安値の38.7円/sは二艘まき網で中羽イワシ混じりの鮮度落ちの価格。鮮度落ちがなければ50〜60円/s台で推移した。

3.中羽イワシ

(1)漁況
 @上旬
  1〜3統が一の島E15〜ENE13海里、日立〜大洗沖(一の島N49〜38海里 13.3〜14.1℃)で1網30〜320トン漁獲。魚体は50〜120g、60〜70g中心で100g以上1〜5%であった。
 A中・下旬
  一の島N/E19海里、ENE5〜E15海里、12.8〜13.6〜15.2℃で1網20〜400トン、大半が150トン以上の好漁。30日は犬吠埼E15海里 15.2℃で1統が190トン漁獲した。
(2)魚体
 魚体は30〜120g中心、30〜60g中心、50〜70g中心があり、小中羽イワシも混じる中、※※網掛かりを警戒しながらの操業となった。
(3)魚価
 魚価は63〜24.7円/s、平均39.7〜28.4円/sと安値で推移した。これは中羽イワシが各地で水揚げされたこと、泥食いで卵持ちにより加工原料には不向きのため、ハマチの餌向けとなったことが考えられる。

4.ハモノ類

(1)漁況
  一部の二艘まき網は、中羽イワシの網掛かりを嫌ったりサバ漁場が遠方であったことから、上旬は犬吠埼E5〜S12海里でイナダ漁を行い、1網2〜25トン漁獲。
  6日には群が少なくなり鹿島沖(一の島N/W17海里)へ北上、1網1〜8トン漁獲。下旬には一の島E4海里、犬吠埼SW12〜S11海里で1網1〜35トン漁獲。犬吠埼Sではサワラ、カスゴ混じりの漁獲もみられた。
(2)魚体・魚価
 イナダの魚体は、上旬には600g〜6s、3〜4sが中心で5s以上10〜20%及び1〜2s中心がみられた。魚価は343.6〜162.0円/s、平均324〜261.6円/sで推移した。
  下旬には600g〜3s、1s前後中心に2s以上10〜20%及び1s前後大半となった。魚価は251〜50円/s、平均179〜125.9円/sで推移した。この50円/sは中羽イワシ混じりであった。
 イナダも各地で水揚げが多いため市況も下がり、輸出価格となった模様。サワラの魚体は2〜5.5s。3〜4s中心で5s以上10〜20%。魚価は1,050〜1,001円/s、平均1,007.9円/sであった。

5.中部太平洋マサバ,マイワシ(銚子水揚)

(1)マサバ
 銚子への水揚げは10日間で、1日1〜4隻入港した。マサバの魚体は180g〜1s、250〜350g中心で400g以上3〜30%程度だが、9日には500g以上40〜50%もみられた。魚価は79〜56.2円/s、平均76.1〜63.7円/sで推移した。
(2)マイワシ
 中羽イワシの魚体は55〜130g、70〜80g中心及び70〜90g中心で、100g以上3〜30%。上旬は100g以上3%程度だが、下旬は3〜20%に増加した。魚価は56〜30.9円/s、平均51.7〜31.2円/sで推移した。30.9円/sは鮮度落ちであった。

※群の素性が悪い:まき網操業で海水温が低い(2〜5月)場合、入網した魚群が一か所に固まったり、水深方向に潜ったりする状態をいう。運搬船への水揚げがしづらくなるだけでなく、破網や船の転覆もあるので注意しながらの揚網となる。
※※網掛かり:魚体が小さい場合、網目に刺さる現象。後に取り外し処理が必要で漁業者はこれを嫌う。

(銚子駐在所所長 鈴木榮一)

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