今年のカツオ竿釣り漁は、操業を開始して早くも3ヶ月以上を経過しました。近海竿釣り船(中型船)の操業は、 1月の初漁以降、小笠原諸島南部水域で行われており、6〜12kg級主体の漁獲が4月24日現在でも続いています。例年、4月近くになると伊豆諸島水域にも漁場が形成され、 1.5〜2kg級のいわゆる「初ガツオ」サイズも漁獲され始めますが、今のところ兆候はほとんどありません。このように4月に入っても伊豆諸島水域に漁場が形成されず、 小笠原諸島水域で3ヶ月以上の長期に渡り、特々大魚主体の漁獲が続くという状況が3年連続で続いています。昨年・一昨年は4月後半になって、 ようやく伊豆諸島水域にも漁場が形成されました。一方、南西諸島水域(屋久島周辺)でも例年通り操業が行われ、鹿児島や宮崎に水揚げが行われており、 1〜2kg台のカツオ主体の漁獲が続いており、昨年をやや上回る漁獲状況で推移しています。
2016年3月は小笠原諸島北部(父島・母島東)に漁場が形成されたものの、
伊豆諸島海域には漁場は形成されませんでした。2016年4月前半は引き続き小笠原諸島北部(父島・母島西)に漁場が形成されたものの、伊豆諸島海域には漁場は
引き続きほとんど形成されませんでした。このように日本近海に来遊する主群であった小笠原諸島〜伊豆諸島を北上する群は、3年前から少なくなっているようです。
房州勝浦の4月20日までの累計水揚量は3,491トンで、前年の5,681トンの半分の61%でした。
2009〜2014年の4月20日までの累計水揚量は1,421〜2,501トンで、6年間平均1,820トンでした。今年は昨年の3分の2程度と水揚げは少ないものの、
6年平均と比べ、192%と一見良さそうにみえます。今期の特徴として「特特大」銘柄の1尾6.4〜12.0kgが4月下旬になっても獲れており、
例年、この時期に加入のある1.5〜2kg級がほとんど獲れていません。
房州勝浦で水揚げされるサイズは、4月19日までの累計水揚量をみると数量ベースで6.4〜12.0kg級以上の「特特大」銘柄が 92%を占めています。1尾で初ガツオの4〜8尾分もあるサイズで、一人では揚げることができないので、二人がかり釣ります。このサイズは昨年以前に日本近海に 来遊し、産卵のために小笠原水域に滞留している群です。3〜4kg以上のカツオは、房総半島東方の黒潮続流域付近まで北上した後、産卵のために Uターンして南下してしまい、三陸沖までは北上しません。三陸沖まで北上するのは、未成熟の2kg級以下のカツオです。三陸沖まで北上して餌を食べて 3〜4kg前後に成長し、産卵できる体(戻りガツオ・下りガツオ)になってから小笠原諸島以南の海域に南下して産卵します。
現在、小笠原諸島で漁獲されているカツオは、1.3〜2.1kg級の「小々」銘柄・「小」銘柄の漁獲は非常に少ないです。近年、日本近海に来遊する主群であった、 小笠原諸島〜伊豆諸島を北上する群は、今年は少なそうです。一方、南西諸島水域(屋久島)で操業し、鹿児島・宮崎等に水揚げしているカツオ竿釣り船は、 現在、1〜2kg台のカツオも中心に漁獲しているおり、今年は4月中旬現在で前年並みの漁獲量(1500トン前後)で推移しています。 なお、鹿児島では年間4500〜8500トンの水揚げがあり、4〜7月に水揚げが多いのが特徴です。今年は小笠原〜伊豆諸島の漁が悪いことから、 築地市場では今月は鹿児島・宮崎の1kg台・2kg台が入荷の主体となっています。