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vol.818

今期のカツオ竿釣り漁(3/12)

特大魚主体に好調な漁獲

 今年のカツオ竿釣り漁(近海竿釣り、中型船)は、例年より早く出漁し、千葉県の勝浦港では1月13日に初水揚げがあった。ちなみに勝浦港の初水揚げは、 2014年が1月26日、2013年が1月28日、2012年が1月23日、2011年が1月26日、2010年が1月25日、2009年が1月29日であったので、概ね平年より10日から2週間早かったといえる。
 現在の主漁場は硫黄島東方の北緯25度・東経145度付近(A)と、大東島南方の北緯18〜22度・東経131度(B)の2つの漁場に分れて操業している。Aの漁場で操業している船は千葉県・勝浦に、Bの漁場で操業している 船はは鹿児島に入港している。3月中(11日現在)の操業状況は、Aの漁場は延38隻で平均14トン・最高36トンの漁獲、Bの漁場は延50隻で平均10.6トン・最高21トン。 漁獲しているサイズは6〜12kg級(中心は7〜9kg)の特々大魚主体に5kg級の大混じり。漁場水温はAが22〜24℃、南寄りであるBが24〜26度と高い。この特々大魚は昨年以前に日本近海に来遊したもので、 初ガツオとは異なり、脂を持っているので、三陸沖までは北上しない。

 勝浦の1〜2月の累計水揚げ量は1,339トンで、2010〜2014年平均の3倍と久々に好調であった。概ね連日2〜3隻が入港しており、50〜60トンペースの水揚げが続いている。 なお、100トンを超えたのは2月の2日・6日・22日の3日間のみであり、3月中はまだない。一方、鹿児島は2月中旬以降まとまり、連日20〜50トンの水揚げが続いている。
 勝浦入港船では2月中は各船3日前〜6日前(1航海4日操業)の漁獲物を水揚げしていたが、3月に入ると3日前〜4日前(同2日操業)とまとまるようになり、2日前の漁獲物も水揚げされるようになったものの、 漁場はまだ遠いことから前日物である新口はまだない。

昨年の総括

 昨年の1〜4月中旬は、長期に渡って北緯20度付近の沖ノ鳥島周辺海域で、6〜12kg級の特大魚の瀬付群の漁獲が続いた。例年、3月後半になると、 小笠原諸島北部〜伊豆諸島海域でいわゆる1.5kg級の『初ガツオ』が漁獲されるが、昨年はこのサイズの漁獲が皆無であった。このことから勝浦の水揚げは4月中旬まで、6kg以上の特大魚のみの水揚げという異例の年となった。 また、黒潮沿いに群れがほとんどいなかったことから、黒潮流域で操業する『曳き縄漁』が歴史的な大不漁としてマスコミで話題となったことも記憶に新しい。
 5月に入ると房総近海で竿釣り船によるまとまった漁が一時的にみられ、この時期に操業が始まったまき網によるカツオ漁は6〜7月の短期間に1万4千トンと好漁がみられた。 竿釣り船は、この時期、ビンナガ漁に切り替え、好漁が続いた。
 8月になるとまき網によるカツオ漁は低調となり、お盆過ぎには三陸・道東沖のイワシ・サバ漁に切り替えた。一方、竿釣りもビンナガ漁が切れ、全船がカツオ漁に向かったものの、群れがみつからず漁獲は低調であった。 竿釣り漁は9月に入ると三陸沖合で、この時期にあまり漁獲されない1kg台の極小ガツオ主体の漁獲が続いた。10月中旬に入ると群れも見つからなくなり、 1航海で数万円という船も多数みられ、例年より三週間早い10月24日に三陸沖(気仙沼)の操業を切り上げた。
 昨年のカツオ漁は、まとまって漁獲された時期がまき網の漁獲が好調だった6〜7月と短く、それ以外の時期は極めて低調だったことから、相対的にまき網の漁獲割合が高かった年であったと云える。

今後の漁模様は・・・

現在、この時期、例年通り、北緯20〜25度の海域で特大魚の漁獲が続いているが、この特大魚は三陸沖まで北上せず房総半島東方の黒潮続流域付近で 産卵のために南下してしまう群れである。5月以降漁獲の主体となり、三陸沖まで北上する初ガツオサイズである1.3kg〜1.5kg級の群れが加入していないことから、今後の漁模様はまだ不明であり、 もう少し様子をみる必要がある。

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