2014年の生鮮スルメイカの水揚動向を振り返ってみたい。2008~2013年ではJAFIC主要港における水揚量は12万6千トンから16万2千トンで推移しており、2014年は12万3千241トンで、2012年の12万5千730トン、2008年の12万7千739トンに次ぐ水揚量で、2008年以降、最も少なかった。海域別の漁獲割合は、三陸・常磐が38~57%とウエイトが高く、道東は4~13%、羅臼は3~19%、オホーツク海が0~6%、日本海が10~21%であった。2010年以降、羅臼と道東とオホーツク海を足すと2~3割(08年と09年は1割)と主要港に占める漁獲割合が増えている。
月別に漁獲量をみると、2011年や2012年のように8月と10~11月に2つの山があるが、2014年は8月の山がなく、9~11月の3ヶ月に水揚げが集中していた。2014年の上半期は日本海の北陸の漁が5~7月にあって以降、三陸沖のまき網の不振、沖底の漁もほとんどなかった。道東の漁は例年より1ヶ月遅れた9月に本格化。羅臼も9月から操業が始まったものの、11月まで盛り上がることなく終漁した。このため、オホーツクへの来遊もあまり多くなかった。三陸の沖底でまとまったのも10~11月で、冬生まれ群の三陸~道東海域への来遊は遅かったものと推察される。
海域別に見ると三陸・常磐では8月と11月にピークがみられる。14年は8月の山(まき網)がなく、9月(沖底)の山も小さい。10月と11月の短期に沖底主体のまとまった水揚げがあった。2014年の海域別漁獲量は5万5千トンで、13年より3千トン多く、2012年並であった(10年11年は6万トン台)。
道東は8月にピークがみられるが、2014年は9月・10月と1ヶ月遅いピークであった。2014年は1万6千トンで、13年より5千トン多く、2010年以降最も多かった(最低は2010年の6千トン)。
羅臼は10月11月の2ヶ月にまとまるが、2014年は9月と早くからまとまったものの伸びがないまま終漁。2010~2013年は1万6千トンから2万6千トンであったが、昨年は1万551トンであった。
オホーツク海(網走・紋別)は、10月から11月にピークがみられるが、昨年は9月に水揚げが始まり、11月にピークがみられた。2014年は5千721トンで2010年並であったが、2011年の9千200トン、13年の7千900トンと比べると大幅に少なかった。ちなみにこの2年は10月に水揚のピークがみられ、道東海域への来遊時期と来遊量に関係がありそうだ。
日本海は6月7月に北陸でまとまったものの、過去3年の平均的な漁で、2014年は1万5千500トンであった。2010年の1万9千800トン、2011年の1万7千トンと比べると少なかった。
現在、北海道・三陸の操業は終盤を向かえ、小型いか釣り主漁場は長崎~山陰沖に移っている。中型いか釣り船(冷凍)は三陸近海のアカイカの冬季漁は低調なため、日本海の隠岐堆で操業。また、富山湾の入網は12月から続いているものの、前年よりは大幅に少ない。まき網では昨日境港で180トンの漁獲があったほか、対馬沖でもまとまっている模様。太平洋を北上する主群の冬生まれ、日本海の主群の秋生まれとも資源量に陰りがでてきているのかもしれないが、スルメイカは1年生なので急激に増えることもあり資源量の回復に期待したい。