今年は例年以上に日本近海へのカツオの来遊が遅れているようです。2月以降、近海鰹竿釣り船の主漁場は、小笠原諸島最南端の沖ノ鳥島周辺海域(19〜20°N・133〜140°E)に形成され、
3月下旬には一時、西之島西方沖にも一部漁場が形成されました。しかし、3月末〜4月上旬になっても、依然、主漁場は沖ノ鳥島周辺海域に形成されています。この海域のカツオは瀬付き群で、
昨年以前に日本近海に来遊したものが滞留したものです。この海域で漁獲されるカツオの特徴は、特々大・特大のサイズが大半を占め、この銘柄では1尾の重量が6kg級から最も大きいものでは12kg級にもなります。
小売店では4つ割だとトレーに載らないので、マグロのように柵にして販売しています。初ガツオとして日本近海に始めて来遊して漁獲されるサイズが、通常は1.3kgから2kg位なので如何に大きいかがわかると思います。
例年、4月に入ると1〜2kg級の小型魚の加入が見られるのですが、今年は今のところほとんど漁獲がありません。千葉県の勝浦で水揚げされたものでは、9割以上が6〜12kg級が占めていました。
勝浦港の年間水揚量は09年以降、7千〜8千トン台から、2011年の1万3千トン台、2013年の1万5千トン台と2倍近い水揚げ変動があります。勝浦の水揚げは、房総半島近海に漁場形成される5〜7月に集中し、
この3ヶ月で勝浦の年間水揚量の7〜8割を占めます。この頃は黒潮続流域でビンナガも大量に漁獲されます。7月以降は漁場が三陸沖に移ることから、気仙沼の水揚げが増加するとともに、勝浦の水揚げは減少します。
今年の1〜3月の勝浦の累計水揚量は1,009トンとようやく1千トンを超えたレベルでした。2012年は1千700トン、2013年は1千300トンで、2009年の1,176トンをも下回り、2009〜2014年の6年間の中では
一番少なかった年でした。これは漁場が遠いことに加え、1日1隻当たりの平均漁獲量は6〜8トンで推移しているものの、1日に20〜30トン獲る船もあれば1トン以下の漁獲しかない船もみられるなど
船間差が大きいのも今年の特徴です。
昨年は1〜3月の近海鰹竿釣り船の主漁場となる小笠原漁場が不漁のため操業隻数は少なく、逆に屋久島周辺の薩南海域が近年にはない好漁でこの海域に操業が集中しました。
このため鹿児島での2〜4月の水揚げが例年に比べ急増しました。今年はこの海域も漁模様がよくなく、2010年・2011年並みの低位で推移しています。
この海域も6〜9kgの特大魚が多いようですが、徐々に1〜2kg級の割合も増えているようです。
千葉や八丈島の沿岸の曳き縄漁もようやく最近始まり、好転の兆しもみえてきました。早く、少しでも初ガツオサイズが漁場に加入し、漁模様が良くなることを期待したいと思います。