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最近の水産の話題はこれ! 随時更新
vol.765

現地リポート・被災地復旧状況

八戸・宮古・気仙沼・石巻・女川・塩釜

[壊れた選別機(気仙沼)]

 例年6月に入るとカツオの水揚げがみられる。当面のターゲットはカツオに照準が当てられている。次にイカやサバ、サンマと続くことになるが!
 今回の訪れた各漁港では程度に差はあるが、軒並み市場が被害を受けている。中でも地盤沈下は共通の被害であり、漁港そのものの将来にとって致命的になることもある。もちろん大震災から3か月経ち瓦礫の処理を始め、程度の差はあれその復旧は進んでいる。

[移転先(気仙沼)]

 しかし、未だ国、県、市町村での具体的なグランドデザインが見えない中、個別に復旧に対処しているのが市場関係者といってよい。
 各市場で、漁業の現状から推測し、水揚げ目標を立てて進んできており、ようやく一歩踏み出しつつある。しかしそれは十全な意味ではまだまだ原状復帰のごく一部であり、メディアで言われるようなものではない。まだまだ様々な支援は必要なのである。

[地盤沈下で盛り土した市場(石巻)]

 特にメディアでは漁船等の被害にはスポットを当てるが後背施設には光があてられることが少なく、ややもすると誤ったメッセージが伝わることがある。
 確かに漁船が操業することは一歩に違いないのだが、漁獲された魚が消費者の口に届くまでには様々な段階があり、今回の大震災では、特にこうした後背施設が軒並み被害を受けた訳である。

 今回回った岩手県南部から宮城県(塩釜除く)における加工・冷蔵庫業者の被災状況は殆ど壊滅的といってよいような状況である。したがって、漁業を裏で支える後背施設の復旧が今一番急がれているといってよい。このことが実質的に漁業を支えることになるのだから。

[まだまだ手つかずの所も...]

 個別の状況は各業界から既に様々な情報がもたらされており、ここでは繰り返さないが、水揚げが目前に迫ったカツオの餌場情報を伝えたい。
 竿釣船は、操業前に生き餌を積み込んで出漁するが、広田湾の定置網(松島網)が1ケ統が残っており、当面はこれを利用しながら1本釣り船の操業が可能といわれる。

 今回訪れた気仙沼、石巻、女川、どの地域も共通であるが、加工・冷蔵庫業者の従業員は大半が解雇されている。雇用問題も含めた将来展望を早く提起しないと、掛け声だけの復旧・復興にとどまることになる。

 その意味では、地域における雇用や産業振興に大きく寄与していた製造業と漁業のタイアップが要請されている。特に気仙沼では既に死亡・行方不明者と同人数程度の人口の減少がみられている。時間がかかればかかるほど復旧・復興は困難を極める。

 1日も早く、今回被災された地区からの魚が食卓に届くように祈りたい。

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