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最近の水産の話題はこれ! 随時更新
vol.748

銚子シンポ後半

 銚子で8月21日(土)に東京水産振興会とJAFICの共催で開催した、地域シンポ「サンマの生産流通情勢」の後半部分を掲載します。

鈴木達也氏

 千葉県水産総合研究センターの鈴木達也首席研究員が、『イワシ類資源の現状を探る』をテーマに話題提供を行った。マイワシは1905年以降では2度の豊漁時代を経験したが近年は低迷し、2009年の漁獲量は6.1万トンで最高を記録した1988年の73分の1まで減少。マイワシ太平洋系群は、資源高水準期には千島列島南部〜日付変更線付近まで大回遊するが、低水準期である近年は大回遊せず、漁場も房総から常磐海域が中心となっている。

 マイワシは資源量が多いと餌の割当が減って成長が悪くなり、資源量が少ないと餌の割当が増えて成長が早くなる。現在1歳で中羽に2歳でニタリ・大羽になり、高水準期よりも成長が1〜2年早い。漁期パターンも高水準期には房総〜常磐海域では冬季〜夏季に盛漁期を迎えるが、低水準期の現在では夏季が盛漁期。豊漁期の冬春季には未成魚が、春夏季には成魚が高水準で来遊していたが、不漁期の現在では未成魚は漁獲対象にならず、夏季に低水準ながら成魚群が漁獲される。このことからもマイワシ資源は低水準と考えられる。冬場に小羽・小中羽といった未成魚が混じれば資源回復の兆し。

  一方、カタクチイワシは、資源は中位であるものの減少傾向にあるという。資源が高水準期の時には冬場に大型魚が獲れるが、2005年以降大型魚の漁獲が減少し、2008〜2009年の冬季は大型魚の来遊がなく、資源水準が下がる移行期に移るか注視する必要があるとした。

小澤竜太氏

 引き続き、茨城県水産試験場の小澤竜太主任研究員が、『2009年と2007年生まれのマサバの動向を追う』をテーマに話題提供を行った。2009年級群は2007年級群に次ぐ資源量で、2010年級群の加入もあることから、資源回復の傾向にあるというものの、今期のサバ漁は低調で裏付けられる情報は少ないとしている。

 今期のサバ漁の不漁の原因は、2010年の常磐沖の海況が全体的に冷水傾向で特に4月は極めて低温であったこと。2〜3月は黒潮が離岸傾向にあったことから、今冬春季のマサバ未成魚の越冬海域は例年より南西寄りに移ったことが影響したことによるという。

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