水産物だけではありませんが、テレビで一度放映するとスーパーの店頭から商品がなくなるほどの影響力がある場合があります。ちょっと昔だと”みのもんた”が昼にやってた番組とか、”どっちの料理ショー”とか、”○○○○大辞典”。最近では、青森の市場の人に聞いた話では、”どっちの料理ショー”の後釜の”県民ショー”が影響力が大きいようです。
その番組で、青森県民が「花見の時期にシャコとトゲクリガニ(毛蟹に近い仲間)を食べる習慣がある」と紹介したところ、テレビ放送をみた人から「トゲクリガニないかシャコないかと問い合わせあった」そうです。シャコとトゲクリガニは丁度花見の時期にしか獲れないそうで、放映され時期はだいぶ後だったようでした。シャコは花見だけではなく、地元では春の運動会でも欠かせないもののようです。
今、青森から中国輸出が伸びている水産物は、なんとナマコ。年々倍々に伸びており、他の魚は減った分の穴埋めをしているそうです。中国から売ってくれと来ており、昔は干しナマコが主流でした。しかし、今は中国の加工技術を持った人が、指導して作っており塩蔵品に替わったそうです。
青森のナマコの相場1kgあたり、大200〜300円、小700〜800円。大が加工用で小が生食用。今のナマコの評価は北海道が一番で、青森が2番。角があるのがりっぱなナマコの証拠。大は今はキロ3000円まで高騰したそうです。なんと10倍です。中国ではナマコを養殖しており、市場の人はいつまで輸出が続くか心配していました。
青森ではナマコは正月に欠かせないもので、生で買ってきて家庭で裁いて酢の物にしていました。昔はナマコをドンブリで食べ、なんと一家族で年に2〜3kgも食べていました。10倍も高くなると 正月にナマコだけでは済まないので購入量も減ってきます。「若い人は食べなくなるし、切り方もわからなくなっている」と市場の人は、中国輸出消えた後、青森にナマコを食べる食文化が残っているかをたいへん心配していました。