量販店の鮮魚売場では7月2日の半夏生には蛸の特売が行われたが、店内のディスプレイは今月19日と31日の「土用の丑の日」を前にすっかり鰻モードに。そんな中、今年のサンマ漁が今日(8日)解禁になった。
解禁になったのは「道東小型さんま漁業協議会」所属のサンマ流し網船で、5トン未満サンマ棒受網船が16日、10トン未満サンマ棒受網船が23日に解禁になり、8月に入ると漁獲の主力の「全国さんま棒受網漁業協同組合」所属の棒受網船が解禁になる。10〜20トン未満の小型船が昨年と同じ8月5日に、20〜100トン未満の中型船が曜日の関係で昨年より1日遅い8月9日(厚岸・釧路を拠点にする船は9日解禁、花咲を拠点とする船は11日解禁)に、100トン以上の大型船が昨年より1日早い8月18日に解禁になる。ちなみに昨年の8月18日はサンマ漁船の一斉休漁が行われたために、大型船の解禁を1日遅らしたことによる。
昨漁期はサンマの漁獲可能量(TAC)を増枠したため、久しぶりに12月下旬まで操業が続いた。19年漁期は当初28万6千トンの漁獲可能量が2回の期中改定を受けて39万6千トン(採補実績は29万4592トン)に、20年漁期は当初39万6千トンだったのが45万5千トンに改定された(採補実績は34万6320トン)。
今年の漁獲可能量も昨漁期と同じ45万5千トンで、うち全さんま所属船の大臣管理分は昨年同様に35万トン。養殖業界の要請もあって海外の需要増によって高騰した養殖魚用となる餌・ミール向けとなるものや、ここ数年好調だった海外輸出を見込んでであるが、例のリーマンショック以降は環境(円高、消費の冷え込み、デフレ・・・)がすっかり変わってしまった。
豊富な在庫(グラフ参照)を受け、スーパーでは昨年漁獲した解凍生サンマが1尾60〜100円の安値で売られているが、新漁を前に早くも6月上旬には新宿のデパ地下で北海道産の「痩せた」新サンマ(定置網や刺網の混獲物か?)が1尾300円で登場していた。しかし、先週末に御徒町の某鮮魚専門店を覗いたら厚岸産の「痩せた」新サンマがなんと1尾80円で売られていた。長さはあるけど、体高がなくやけにスマートだ。北上期のサンマなので餌を食べてないからまだ「痩せている」とはいえ、解凍物と同じ価格帯である。秋刀魚と書くように、これから千島列島沖で餌をいっぱい食べて、秋になると脂がのって美味しくなる。旬の先取りとはいえ、少し早すぎないか。
JAFIC道東出張所の小林所長によると、調査船や台湾の当業船の漁模様は悪く、例年よりも痩せたサンマが多く、不漁年になる可能性が高いという。東北区水産研究所が例年8月に開催していたサンマ漁協予報は、今年は会議を開催しないでFAX等で意見をとりまとめるという簡略的なものとなるようだが、どのような予報が出されるか。