日本海の旋網本マグロ漁は、初日の6日の水揚げは旋網船団1ヶ統が山形県飛島沖で30〜40kg級31本で約1トンの漁獲と少なかったものの、昨日8日は佐渡沖で3ヶ統合計105トンのまとまった漁獲があった。内訳は21たいよう丸が境港に55トン水揚げし、石川県籍の3蛸島丸が蛸島に30トン(1200尾)を18輪島丸が20トン(850尾)を七尾にそれぞれ水揚げした。引き続き本日9日は同一の漁場で漁獲したものを、21たいよう丸は境港に55トン水揚げし、18輪島丸がヨコワ30トンを七尾に水揚げした。
今朝、東京築地市場では日本海の旋網本マグロ664本の大量入荷があり、内訳は境港物が100尾、蛸島・七尾の石川物が566尾だった。今朝の日本海の旋網本マグロの相場は、高値2400円/kg、平均1430円/kg、安値1300円/kg。昨年の入荷初日は今年より4日早い6月5日(木)で、入荷は境港から625尾と今年とほぼ同量の入荷だったものの、相場は高値3800円/kg、平均1910円/kg、安値1300円/kgと、今年より平均で500円/kg高かった。8日の浜値は蛸島・七尾が1400〜1300円/kgと今朝の築地並みの相場だったのに対し、境港は1550〜1450円/kgと築地の相場よりも1割高く逆ざやとなった。また、佐渡や青森の定置網物の入荷も好調で、今朝は青森物が21本、佐渡物が53本あった。佐渡の定置物の相場は、高値4000円/kg、平均2850円/kg、安値2200円/kgとほぼ旋網物のほぼ倍。
築地荷受の担当者に話を聞いたところ、定置物と旋網物の魚体は30〜40kg級で差はなく、旋網物の身質も充分良い。旋網物は境港・蛸島・七尾の港による品質の格差は、漁場が佐渡沖で同じであることから特にない。今年は佐渡・青森の北の方で定置物の水揚げが好調であることや、旋網の初期漁場も山陰の西から始まらず、山形・佐渡から始まったことから北上は早いとみている。シーズンのカツオは現在でも1千円/kgと高くて売りにくいのに対して、水揚げが好調なメジマグロ(本マグロの子供)は600円/kgと売りやすい価格帯にある。現在獲れている30〜40kg級の本マグロは脂のノリも大型魚に比べて少ないのでメジマグロに身質が近いことから競合する。不景気のために旋網物の相場も、メジマグロの安い方安い方に引っ張られている。旋網物本マグロも、現在より10kg大きい50〜60kg級の魚が獲れれば、脂のノリも違ってくるのでメジマグロと差別化できて、違った売り方ができる。脂物も含めマグロ全体の売れ行きは昨年のリーマンショック以降悪く、今後お盆過ぎまで売れ行き不振が続くとみる。マグロに対するここ数年のマスコミ報道は、減船問題や漁獲枠削減等の話で「マグロの供給が今後減って、散々値段が高くなる、高くなると煽った結果、消費者のマグロは高いというイメージが定着し、景気低迷も重なり売れ行き不振に発車をかけた。マグロは安くなったんだから消費者にバンバン食べていただかないと。」
近所(東京都中央区月島〜勝どき)のスーパーを3軒覗いたところ、日本海の旋網本マグロを置いていたのは1軒のみで、3軒とも潤沢な養殖インドマグロを置いていた。食品スーパーFは旋網本マグロを置いており、産地は石川県七尾産、荷受けTIの扱いで荷受けの札も売場に置いて産地をアピール? 1サク150g程度のもので、赤身880円/パック、中トロ1280円/パック、大トロ1580円/パック。メジ(島根県産)は1サク300g程度のもので880円/パック。カツオ(千葉県産)は1サク300g程度のもので680円/パック。食品スーパーBでは宮城県産のメジで1パック600円台。食品スーパーMはカツオをここ数日は498円/100gで、この時期で1サク1千円を越えていたものの、今日は特売日で1パック300円に抑えていた。この店舗は脂物は養殖インドマグロで、赤身系は台湾産のメバチ。