すっかり夏の風物詩となった、境港で旋網物の本マグロ(クロマグロ)の初水揚げが6月6日(土)にあった。漁獲したのは地元・共和水産の第18光洋丸で、山形沖で漁獲してものを運搬船で搬入。水揚本数は約30本、サイズは最大55kg・中心は30〜40kgで、2004〜2005年産まれの4〜5歳魚とみられる。相場は高値がキロ3千百円であった。旋網物の本マグロは、シーズンになると量販店や専門店が週末に集客の目玉として行うマグロ解体実演販売にも頻繁に登場するのでお馴染み。
過去の境港での旋網本マグロの初水揚げ日をみると、昨年は今年より3日早い6月3日であった。平成19年以前では概ね今年より遅く、19年・6月11日、18年・6月12日、17年・6月17日、16年・6月27日、15年・7月3日、14年・7月6日、13年・7月10日、12年・7月17日、11年・7月19日、10年・5月27日と、平成11年以降では年々初水揚げ日が早くなっている。境港の旋網物の年間水揚げ量は、昭和57年に1,404トンを記録したものの、昭和58年〜平成15年は数百トンに低下した。平成16年以降は水揚げ量が急増して、平成16年は1,703トン、平成17年は2,985トン、平成18年は1,778トン、平成19年は1,978トン、平成20年は2,229トンと近年は2千〜3千トンレベルで推移。水揚げ金額は平成15年以前では数億円だったものの、平成16年は14億円、平成17〜19年は25億円前後、平成20年は30億円を突破した。
日本海の旋網本マグロの水揚げは、今までは大半が境港に水揚げされていた。しかし、最近ではマルハ系の船団が新潟港に水揚げしているほか、今年から金沢港も水揚げの誘致に乗り出した。また、日水は旋網で漁獲した本マグロを京都の伊根で、短期間、蓄養して出荷している。日本の本マグロ養殖(蓄養)は、1kg以下のマグロの幼魚『ヨコワ』を曳き縄などで釣って池入れをし、3〜4年かけて出荷サイズに育てるのが一般的だが、日水が伊根で行っているのは地中海で行っているマグロ養殖(蓄養)と同じ方法で、旋網で漁獲した本マグロを養殖イケスまで曳航して、半年ほど餌をやって太らしてから出荷する。元々成魚なので幼魚から育てるより短期間で出荷でき、肉質も天然物に近いとされることからキロ5千円以上で扱われている。このように本マグロの水揚げに関しては境港も安泰ではないことから、夏場に漁獲したものを冷凍保存して周年出荷する動きや、観光資源と捉えて一般観光客向けに水揚げ風景を見学させることも今年からスタートさせる。
なお、本日6月8日(月)には21たいよう丸が55トンのまとまった水揚げを行った。魚体は一昨日と同じ30kg級が中心の模様で、餌はカタクチイワシ・スルメイカの子供・ニギス等を食べているという。日本海の本マグロ旋網漁は、例年、お盆の頃までの約2ヶ月半続く。