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vol.677

大中型まき網漁業について

 昨年6月に房総半島沖で鰹鮪漁を行っていた大中型まき網漁船・第58寿和丸の転覆事故が起こりましたが、未だに原因が解明されていません。マスコミ報道によると14日の朝に五島灘で第11大栄丸が出港してすぐに転覆事故が起こったとのことです。行方不明の12人の中に20代の若い漁師さんも3人も含まれているそうで、全員の早い救出をお祈りします。

 さて、大中型まき網漁業とは、「40トン以上(北部太平洋海区では15トン以上)の動力漁船により、まき網を使用して行う漁業のことであり、主たる漁法としては、網船1隻に附属船として灯船2隻、運搬船2〜3隻、計5〜6隻で船団を組んで操業を行なう」と定義され、農林水産大臣の許可漁業になっています。灯船(ひぶね)とは集魚灯によって魚群を集める漁船のことで、北部太平洋海区(野島崎以東の常磐〜三陸〜道東)では使用が禁止されています。網船(本船)の第11大栄丸は総トン数135トンで、付属船として運搬船2隻と灯船2隻の5隻で1船団を構成して出港しました。第11大栄丸の操業区域は他の日本遠洋旋網漁協所属船同様に東海黄海地区で、島根県と山口県の県境北西以南の日本海、黄海、東シナ海、南シナ海と広範囲に及びます(山口県沖10海里内・対馬東岸沖10海里内での操業は禁止)。


 第11大栄丸は五島西沖で4月14日〜5月1日の18日間の操業予定だったそうで、2隻の運搬船が漁獲物を港(松浦・福岡等)までに運ぶほか、残りの3隻は漁場に滞在します。常磐〜三陸沖では鰹鮪まき網漁は別として青物漁は陸に沿った近場で操業しますので、操業形態が異なります。14日は朝7時過ぎに出港して、五島西沖の漁場には正午頃に着く予定だったことから、漁場までは4時間半から5時間といったところでしょう。第11大栄丸は4月4日頃までは屋久島西方のクチミノセ近海でサバやブリ・カンパチ等を漁獲していましたが、その後、第23大栄丸とともに五島西沖のカキノセ近海で8日までヨコワ(メジマグロ)漁を行っていました。9〜13日は月夜間の休漁期間に入り、明けた14日に出港しました。この月夜間とは旧暦の毎月13〜19日があたり、満月の期間は集魚灯の効果が落ちることから東シナ海ではまき網の休漁期間になっており、市場側も合わせて休みます。このような事故がある度に漁師さんは危険と隣合わせで魚を獲っているのだと、思い知らされます。(写真はまき網の運搬船、八戸港にて)

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