例年通り、今月5日(月)に築地市場で初市があった。テレビ・新聞等のマスコミの報道があったように、国内物の生鮮本マグロの最高値はキロ単価7万5千円と、平成13年の初市の最高値キロ10万円に次ぐ史上2番目の高値でセリ落とされた。平成11年以降、初市の国内物の生鮮本マグロの最高値は全て青森県大間産で、キロ単価2万円台・一本値300〜600万円が平均的なところ。ちなみに今年の輸入物の生鮮本マグロの最高値はアメリカ・ノースカロライナ産で、キロ単価1万500円で、一本値141万8千円であった。
初市に入荷した大間産本マグロは時化で3本しななく、一番大きい重量128.4kgのものに買いが集中した。昨年は重量276kg・キロ単価2万2千円・一本値607万2千円で、今年は半分程度の重量ながらキロ単価が3.4倍もしたことから、一本値963万円と昨年のものの5割高となった。昨年も今年も仲卸がセリ落とした後の行き先は香港系の寿司屋チェーン(香港と日本国内で1/4づつ)で、今年は高すぎたことから半分は銀座の老舗寿司屋に販売されたようだ。初市の一番物を香港の寿司屋が2年続けてセリ落としたことになるが、これはマスコミが初市の一番物を盛んに取り上げることから宣伝効果を狙ったとの冷ややかな見方もある。ちなみに平成13年のキロ10万円を付けたときは、重量202kg・一本値2020万円もし、セリあった仲卸2社はその後廃業した。この金額になると仲卸もお得意さんにそのままの価格を転嫁できないし、魚を割ってみると品質が良くなかったらしく、セリ落とした仲卸がしわ寄せをかぶったのも廃業した原因の一つかもしない。
初市のマグロの入荷状況をみると10年前は4500本あったのが、現在は3千本以下まで減っており、特に冷凍物の減少が著しい。リーマンショック以降、燃油高騰は一段落したものの世界同時不況的な様相で消費も冷え込んでおり、今年もマグロ業界を巡る環境は厳しそうだ。