平成年代も早いもので20年目が終ろうとしている。バブル経済が崩壊し、小泉−竹中のいわゆる規制緩和・構造改革路線で一応、不良債権処理は進んだものの、グローバルスタンダードの名の基に、日本の経済構造をすっかりアメリカ追随型に変えてしまった。実体経済に伴わない投機マネーが世界を駆け巡り、原油相場・穀物相場の高騰を呼び、生活の基本となる食料等の生活物資が高騰した。この間、庶民にはデフレで実態感のないイザナギ景気を超えるとされる好景気が続き、輸出が好調な大企業は蓄財を蓄えた。トヨタの2008年3月期の連結決算では、売上高26兆2892億円の過去最高を記録し、営業利益は2兆2703億円を記録したものの、2009年3月期ではサプライムローン問題から始まったアメリカを震源とする金融危機の影響を受けて1500億円の営業赤字の見通しだという。
一方、漁業の総生産金額はバブル期の1985年の2兆9千億円をピークに下落し、2003〜2006年には1兆6千億円とほぼ半減し、トヨタ1社の営業利益にも及ばない。今年の水産業界の重大ニュースを、世界経済と交えて振り返ってみたい。
[輸出ストップ〜買い負け消える] ここ数年好調で浜値を支えた続けたサバや秋サケの輸出を始め、資源が豊富なサンマも輸出を増やそうと増枠したものの、急激な円高で輸出が頓挫。缶詰需要のある冷凍カツオは、プライスリーダーであるタイのバンコク相場に連動して200円/kgの高値を記録したものの、欧米の消費の落ち込みで11月には150円台まで下げた。一方、円高で「買い負け」はどこ吹く風で、行き場を失った水産物は日本に入りつつあるようだ。
[燃油高騰〜一斉休漁] 漁船の燃油(A重油)は、今年の夏場にはキロリットル当たり過去最高の12万円台と3年前の約3倍に高騰。このため経費に占める燃油の割合が増大し、漁業者の経営が成り立たないことから、7月15日に初となる全国一斉休漁を行なった。その後の金融危機で11月は8万5000円、12月は6万5000円と元の水準に戻りつつある。