この時期は例年ならば年末商品の話題に持ちきりになるはずだが、今年はこの秋以降のアメリカ発のサブプライムローン問題を端緒にした金融危機の進行が、大きな陰を落としている。
言うまでもなく、エビの消費は近年、米国が主導的な役割を担ってきた。しかし、米国内でのブラックタイガー(BT 8〜12尾サイズ)の在庫も増加しているといわれる中、日米の決済方法の違いにより産地への返品等もみられるという。
したがって為替変動(円高―ドル安)の大きな波の中で、日本が消費不況にも拘わらず、欧米の役割を果たすべくこの時期を迎えたが、円高還元セールと銘打った特売でも必ずしも国内在庫を軽減するような効果を上げていないと言われる。
生産地のアジアでは、端境期に入っており在庫を減らす機会なのであるが、上述の国内外の状況下では、なかなか思うように進まないのが現状。生産地の一つインドネシアでもラマダン明けで浜値も上昇の時期でもあるが、状況は変わっていない。また、アジアではBTの価格下落に伴いエビから生産効率の高いバサフィッシュ(鯰の一種)へ養殖の転換を図る動きもでていると言われる。さらには現在伸びている剥きエビへのシフトのために、サイズ的にあわないBTからバナメイへの転換の動きもあり、来年は生産地での動向に大きな変化がみられそう。
年末のエビは、ロシア政府の規制がかかっている赤エビ(甘エビ)は生産が少なく、価格は上昇基調。また、イリアンタイガーも昨年より500〜600円高といった動きを除くと、なかなか厳しい年の瀬となりそう。