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vol.652

築地で海の自然再生を語る

 自然再生を推進する市民団体連絡会主催の「築地魚河岸と語る森・里・川・海の自然再生」(銀鱗会・東卸など共催)が、10月25日(土)、築地市場内の東京都講堂で開催され、一般消費者を中心に市場関係者など220人が参加。
 午前中は一般消費者を対象に場内見学が行われ、昼食にはイクラ丼と牡蠣汁が参加者に振る舞われた。イクラ丼のご飯は山形の新米を場内のお寿司屋が炊いたもの

 森本築地市場長が「この講堂は普段は場内関係者を対象に運転講習会などに利用。市民団体のシンポジウムは始めて」と挨拶。「築地市場もできてから70年経ち、老朽化しているので早く移転したい」と本音をポロリ。

 主催者からシンポジウムの開催の経緯の話があり、「盤州(ばんず)里海の会」の代表で現役の海苔漁師の金萬智男さんとの話から生まれたという。最初は船橋にアマモ場を復活させようとしたが、アマモは海苔の天敵で切れ端が入ると商品価値が落ちると海苔漁師はいい顔しなかった。アマモが混じった海苔でもいいではないか。それが自然な姿であるということを消費者に伝えるためにシンポジウムを企画した。

木原氏の基調講演

 NHKの水中カメラマンとして40年以上海を潜ってきた木原英雄氏が「美しく豊かな海ってどんな海?」をテーマに基調講演を行った。「ここ10年で海がすっかり変わり、そのスピードは早い」という。シイラが北海道のオホーツク海に、サワラが津軽海峡を抜けて岩手沖まで回遊するようになった。沖縄で珍重されるスクの親のアイゴの北上も著しく、ここ2~3年はアイゴの群れを静岡や伊豆大島、東京湾でも分布を確認。アイゴは海藻(海草)を食べ尽くし、伊豆大島でもヒロメがなくなりアワビが獲れなくなった。京都大学の研究によると主要魚種の主生息域が300kmも北上したという。また、海水温が高くなる弊害として上層~下層への対流が起こらなくなり、栄養塩が供給されず、海藻が生えなくなる。

小学生の活動事例

 横浜市金沢区の西芝小学校の「西芝アマモ隊」の活動をビデオで紹介。2003年から「海の公園」と「野島公園」でアマモの移植活動を行っている。6月にアマモの種を採取し、11月3日にアマモの種蒔きイベントを予定。翌年の春までは神奈川県水産技術センターが苗床を作って管理。なお、現在は小学校の垣根を越えて市民が100人以上参加。

 次に、東京都港区のお台場海浜公園の隣にある港陽小学校の「海の学習」を小学生も交えて紹介。全校約340人。1年生は干潟体験、2年生は生物観察、3年生はお台場の海を学習。4年生はアマモ場再生のため、アマモの種からペットボトルを使って教室内で苗に育て、生育するとお台場に植えて水質浄化に役立たせる。5年生は海苔作りで、平成17年度からスサビ海苔養殖を、平成19年度からは浅草海苔養殖にも取り組む。都内の海面で海苔養殖が復活したのは43年ぶり。お台場に養殖用の竹ひびを建て、東京都漁連の漁師さんが出した船に、千葉県の現役の海苔漁師さんが乗って、海苔の種を付けた網を張ってくれた。東京と千葉の漁師さんの協力があってこの授業が成功している。小学生の感想は「昨年の海苔はあまり美味しくなかったけど今年のは美味しいかった」とのこと。6年生になるとお台場の海水の性質を調べる学習があり、全学年では海浜清掃も行っている。

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