10月10日は「とと(魚)の日 おさかなに感謝する日」ということで、東京・築地市場内の買荷保管所で東京魚市場卸協同組合・東京魚商業協同組合の主催で『心粋(こころいき)−【ちょっと聞けない、築地からの、いい話】』が開催され、200人近い一般消費者や市場関係者が参加した。
伊藤東卸理事長は、「ととの日」が制定されて3年目ということで、1〜2目は文化放送を貸し切って放送したが、3年目の今年はこうしたイベントを始めて開催したと挨拶。水産物の流通で仲卸は魚の目利きを行っている。消費者は昔は値段を重視したが今は安全安心を重視している。仲卸も昔は衛生管理にあまり気をつかわなかったが最近は意識がかわってきた。関東農政局による産地表示の調査もあり、産地表示にも気を付けている。正しく表示をしないと買ってもらう魚屋さん・消費者まで正しく伝わらない。仲卸の業績は右肩下がりで市場外流通が増え、市場の経由率は6割ではないか。市場の経由率を回復させる上で、ハード面の整備、市場を通すものは目利きがチェックしているので安全安心、良いものを市場に流して貰うように卸と仲卸がタッグを組み産地側に訴えていくことも大切。また、市場の機能として「決済」や「責任」も重要だと指摘。
神田・魚商常務によると、魚商は町の魚屋の組合で、魚屋は買参権を持っているのは一部で、大半は市場の仲卸から魚を買っている。市場のプロが目利きし、自分のお店の客層にあった品揃えを心がけている。魚商の「ととの日」のイベントとしてエビの特売を行っており、ブラックタイガーの大型の16/20サイズを10尾350円で提供。
石塚・魚商副理事長は、氷見のブリは一年中良いわけではなく、時期によっては他産地の方が良い場合もあると指摘。これを受けて、伊藤理事長は旬は高価な「走り」の時期と、大量に水揚げされる時期があると説明。氷見のブリは青い発泡に入っている。
氷見市商工観光課きときと食文化・氷見ブランド推進班長の藪田氏によると定置網は400年の歴史があり、昔は稲藁を編んで定置の網を作った。魚の残さは畑に蒔き、今流で言えばエコ。網に入った2〜3割の魚しか獲れず、残りの7〜8割は逃げて来年以降の資源に繋がる。また、船で漁場まで20〜30分と近く燃油も経費の1割で済み、魚は高鮮度で、漁業者の労力も操業は午前中で済み午後は網の補修などの丘仕事に回せ楽など、定置網は良いことが多い。定置網を海外に広めるためタイやインドネシアや南米等に技術協力し、現地に行っている。氷見からは氷見の定置網で獲れた新鮮なツバイソ(ブリ幼魚)やワタリガニなどを使った大量鍋が、来場者に振る舞われた。
伊藤東卸理事長は、市場にある魚は300〜400種類。町の魚屋さんを使ってほしい。前に食べて美味しかった魚があれば魚屋さんに言って注文すれば仲卸も
潤うと前半を締めくくった。
続いて神田魚商常務らが、ブリやサワラのお造りを実演で披露した。イカの刺身を作るとき刃先を使うと綺麗に切れ、ブリやカツオを盛りつけるとき、ツマを
うまく使い立てて盛ると綺麗に盛りつけられるとコツを紹介。
会場では宮城県東松島市、石川県七尾市、徳島県、静岡県焼津市、鳥取県の地産品の販売も行われた。
9日にはNHK−BSで放送され好評だった「築地大辞典」が大朏秀次・築地市場長の解説を交えながら上映された。2時間番組に3ヶ月もの撮影期間を費やしたそうで、この番組は海外各国で放映が決まっているが、観光客が入れない場所は番組中でキチンと明記するようにNHK側にお願いしたという。また、番組制作時には資料を集めるために築地市場史の研究家としても有名な森場長の自宅までNHKスタッフが押し掛けてきた話を披露。なお、当日は番組プロデューサーやディレクターも出席した。
明日11日(土)〜12日(日)には築地市場に隣接する築地場外市場で「秋の市場まつり」が行われる。例年の半値市にかわって「試食育まつり」と銘打ち、11日は築地場外の銘店の料理・商品のほか、今半などの都内の有名店や全国的な有名店の料理も有料の試食として格安で食べられる。翌12日、親子向けのイベントとして築地場外の銘店が料理教室や魚の捌き方教室等を開催する。試食やイベント参加は試食育チケットが1〜5枚必要で、100円券×12枚綴りで1千円で販売する。
詳しくは築地場外市場HPを参照下さい。