まいわしは、まき網では道東沖、常磐沖、三重県沖、山陰沖、九州西岸(長崎、鹿児島)等で漁獲された。道東沖のミール向けを主体とするまき網漁は、釧路・広尾に1日あたり1,600~5,200トン、八戸に1,000トンを水揚げし、前月から漁模様は上向いた。常磐沖では、9月は中旬までまとまった漁獲が続いた。銚子に1日あたり500~1,700トン水揚げされ、9月の水揚量は9,600トンだった(前年0トン)。魚体は40~70g(小中羽~中羽)主体で、前月と同様に、60g以上のものでは粗脂肪量(千葉県水産研究センター測定)が20%前後と、脂の乗ったものもみられた。また、道東沖では引き続きまいわし棒受網漁が行われたほか、少量ではあるものの三陸沿岸では定置網による漁獲がみられた。
9月上中旬の主要港における水揚量(以下「9月上中旬の水揚量」という。)は59,000トンで、前月の5.5倍、前年同月から26%増加した。価格は46円/kgで、前月の33%安、前年同月の29%安であった。
消費地(東京)におけるまいわしの入荷先は、北海道・千葉主体に愛知・鹿児島からであった。9月上中旬の入荷量は前月から28%増加し、前年同月から87%増加した。価格は前月の16%安、前年同月の21%安であった。
好調だった常磐沖では9月中旬に漁が途切れた。一方で、今後も道東沖ではまとまった漁獲が続き、小型サイズ主体に水揚げされるとみられる。東京への入荷量はやや減少し、卸売価格はやや強含みで推移すると見込まれます。
さば類は、まき網では八戸沖、常磐沖、静岡~高知県沖、山陰沖、九州対馬沖・西沖(五島沖)、九州西岸(長崎、鹿児島)等で漁獲された。九州対馬沖ではまさば主体、西沖ではまさば・まあじ主体の漁獲で、九州各地でまとまった水揚げがみられた。松浦の9月の水揚量は7,100トンで、前月の1.8倍、前年同月の2倍と、大きく増加した。対馬沖の魚体は300~400g台主体であった。一方、三陸沖では、9月に入り沖合底曳網の操業が解禁され、石巻を中心に水揚げした。また、三陸沿岸や富山湾では定置網、伊豆諸島水域ではたもすくい網による漁獲がみられた。
9月上中旬の水揚量は7,700トンで、前月の2.1倍、前年同月から27%増加した。価格は136円/kgで、前月の23%安、前年同月の13%高であった。
消費地(東京)におけるさば類の入荷先は、まさばは宮城主体に千葉・神奈川・長崎等から、ごまさばは宮城・静岡主体に千葉・三重等からであった。9月上中旬の入荷量は前月から19%増加し、前年同月から23%減少した。価格は前月の4%高、前年同月の14%高であった。
今後も引き続き東シナ海を中心とした漁獲が続くとみられ、東京への入荷量は横ばい、卸売価格は横ばいで推移すると見込まれます。
小型いか釣船は、日本海側では北海道西~道南~青森県、北陸、山陰~九州沖で操業した。函館では、水揚量は前月、前年同月を上回ったものの、日本海側は全般的に低調な漁模様であった。一方で、太平洋側では、道東~青森~岩手県沖に漁場が形成された。昼いか釣主体の漁を行い、まとまった漁獲がみられた。9月に入ると、三陸各地で沖合底曳網漁が解禁され、八戸・宮古・石巻を中心にまとまった水揚げが続き、近年では好調に推移した。また、少量ではあるものの、三陸沿岸の定置網による漁獲がみられた。
一方、中型いか釣り船(船凍)によるするめいか漁は、青森~岩手県沖で操業が行われ、安定した漁獲が続いた。
9月上中旬の生鮮するめいかの水揚量は5,100トンで前月の2.9倍、前年同月から23%増加した。価格は602円/kgで、前月の8%高、前年同月の26%安であった。
消費地(東京)におけるするめいかの入荷先は、青森主体に北海道・岩手・宮城等からであった。9月上中旬の生鮮するめいかの入荷量は前月の1.7倍、前年同月の2.5倍であった。価格は前月の6%高、前年同月の30%安であった。
引き続き太平洋側ではまとまった漁獲がみられるものの、日本海側は低調に推移すると予想され、生鮮物の東京への入荷量は横ばい、卸売価格は高値・横ばいで推移すると見込まれます。冷凍物は、入荷量は横ばい、卸売価格は高値・横ばいで推移すると見込まれます。
まあじは、まき網では静岡県沖、和歌山~高知県沖、山陰沖、九州対馬沖・西沖(五島沖)、九州西岸(長崎、鹿児島)等で漁獲された。九州西沖では、まさば・まあじ主体の漁獲がみられた。九州各地の水揚量は前月を上回ったものの、前年と比べて低調に推移した。また、少量ではあるものの、三陸の底曳網と定置網による漁獲がみられた。
9月上中旬の水揚量は2,000トンで前月の1.5倍、前年同月から28%減少した。価格は296円/kgで、前月の14%安、前年同月の8%高であった。
消費地(東京)におけるまあじの入荷先は、中あじは長崎主体に宮城・千葉・静岡・鳥取・佐賀等、中小あじは静岡・佐賀・和歌山等、小・豆あじは三重主体に静岡・高知からであった。9月上中旬の入荷量は前月から11%増加し、前年同月から28%減少した。価格は前月並み、前年同月の17%高であった。
今後も山陰や九州を中心とした水揚げが続くとみられるが、低調に推移すると予想され、東京への入荷量は横ばい、卸売価格は横ばいで推移すると見込まれます。
かつお近海竿釣り船の漁場は、岩手~宮城県~銚子沖、房総沿岸、伊豆諸島周辺等に形成され、9月中旬には長崎県沿岸や南西諸島周辺等にも漁場が形成された。銚子沖のかつおの魚体は、1~2kg台の小型サイズ主体に6kg以上もみられるなど、多様であった。近海竿釣り船の9月の水揚量は、気仙沼では780トンで前年を下回った(前年比15%)一方で、千葉県勝浦は400トン(前年の21倍)、鹿児島は730トン(前年の2.4倍)と前年を大きく上回った。
また、かつお・まぐろまき網漁は、東北北部沖、常磐沖、駿河湾沖等に漁場が形成されたものの、かつおの水揚量は25トン(前年同月比1%)と、低調な漁模様が続いた。
9月上中旬の生鮮かつおの水揚量は1,700トンで前月から22%減少し、前年同月から71%減少した。価格は479円/kgで、前月並み、前年同月の1.7倍であった。
消費地(東京)におけるかつおの入荷は、長崎・鹿児島主体に宮城・千葉・静岡・愛媛・宮崎等からみられた。9月上中旬の入荷量は前月から28%増加し、前年同月から45%減少した。価格は前月の22%安、前年同月の20%安であった。
今後、漁期終盤で産地の水揚量は徐々に減少すると予想され、東京の入荷量はやや減少し、卸売価格は高値・横ばいで推移すると見込まれます。
さんま棒受網漁の主漁場は、花咲東北東沖220~250海里および470~580海里付近、花咲南東沖220~250海里付近、落石南沖30~140海里付近に形成された。花咲を中心に浜中、厚岸、釧路、釜石、大船渡、気仙沼、女川、銚子に広く水揚げされた。各港合計で、1日あたり数百~2,100トンの水揚げが続き、9月の水揚量は23,500トンと、近年では2018年に次いで多かった。魚体は70~180g主体で、前月よりも若干小型化したものの、前年と比べて大きく太り具合がよかった。
9月上中旬の水揚量は18,000トンで前月の17倍、前年同月の4倍であった。価格は351円/kgで、前月の56%安、前年同月の46%安であった。
消費地(東京)におけるさんまの入荷は、北海道主体に岩手・宮城・千葉等からであった。9月上中旬の入荷量は前月の12倍、前年同月の4倍であった。価格は前月の27%安、前年同月の38%安であった。
中短期漁況予報によれば、10月の道東・三陸海域への来遊量は増加するとみられ、東京への入荷量はやや増加し、需要期であることから、卸売価格は横ばい~やや弱含みで推移すると見込まれます。
(水産情報部)