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2025年10月15日
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vol.1383 記事一覧

8月の概況と9月の見通し

まいわし

まいわしは、まき網では道東沖、常磐沖、三重県沖、山陰沖、九州西岸(長崎、鹿児島)等で漁獲された。道東沖のミール向けを主体とするまき網漁は、1日あたり100トン前後~670トンを釧路・広尾に水揚げした。8月の水揚量は2,700トンと、前年を下回った(前年同月比15%)。一方で、常磐沖では8月も漁獲がまとまった。銚子に1日あたり2,000トン前後の水揚げが続き、8月は16,000トンと、前年(9トン)を大きく上回った。魚体は40~50g(小中羽)主体で、60~80gのものでは粗脂肪量(千葉県水産研究センター測定)が20%前後と、脂の乗ったものもみられた。また、道東沖では引き続きまいわし棒受網漁が行われたほか、少量ではあるものの三陸沿岸では定置網による漁獲がみられた。

8月上中旬の主要港における水揚量(以下「8月上中旬の水揚量」という。)は11,000トンで、前月から72%減少し、前年同月から10%増加した。価格は68円/kgで、前月の37%高、前年同月の16%高であった。

消費地(東京)におけるまいわしの入荷先は、北海道・千葉主体に鳥取等からであった。8月上中旬の入荷量は前月から28%減少し、前年同月から48%増加した。価格は前月の20%高、前年同月の16%安であった。

今後、道東沖および常磐沖を中心にまとまった漁獲が続くとみられ、東京への入荷量は横ばい、卸売価格は横ばいで推移すると見込まれます。

さば類

さば類は、まき網では八戸沖、常磐沖、静岡~高知県沖、山陰沖、九州対馬沖・西沖(五島沖)・東シナ海中南部、九州西岸(長崎、鹿児島)等で漁獲された。八戸沖では、7月末からさば類が漁獲され始め、8月もするめいかに混じり漁獲がみられた。九州対馬沖では前月に引き続き、まさば主体の漁獲で、8月の水揚量は九州各地で前年を上回った。対馬沖の魚体は300g前後主体であった。一方、三陸沿岸や富山湾では定置網、伊豆諸島水域ではたもすくい網による漁獲がみられた。

8月上中旬の水揚量は3,600トンで、前月から55%減少し、前年同月から35%減少した。価格は178円/kgで、前月の59%高、前年同月の47%高であった。

消費地(東京)におけるさば類の入荷先は、まさばは宮城主体に千葉・神奈川・三重等から、ごまさばは宮城主体に千葉・静岡・愛媛等からであった。8月上中旬の入荷量は前月から24%減少し、前年同月から16%減少した。価格は前月の17%高、前年同月の28%高であった。

今後も東シナ海を中心とした漁獲が続くとみられ、東京への入荷量は横ばい、卸売価格は横ばいで推移すると見込まれます。

するめいか

小型いか釣船は、北海道西~道南、北陸、山陰~九州沖で操業したものの、全般的に低調な漁模様であった。一方で、太平洋側では、8月後半から花咲沖で昼いか漁が始まった。下北半島沖でも昼いか釣主体の漁を行い、前月に引き続き、まとまった漁獲がみられた。八戸沖では、まき網によるするめいか・さば混じりの操業が続き、1日あたり30~60トンの水揚げがみられた。また、石巻の小型底曳網による漁獲がみられたほか、少量ではあるものの、三陸沿岸の定置網による漁獲がみられた。

一方、中型いか釣り船(船凍)によるするめいか漁は、前月に引き続き、昼いか漁が好調な下北半島沖で操業した。

8月上中旬の生鮮するめいかの水揚量は1,700トンで前月の2.2倍、前年同月の3倍であった。価格は544円/kgで、前月の13%安、前年同月の39%安であった。

消費地(東京)におけるするめいかの入荷先は、青森主体に岩手・宮城・石川等からであった。8月上中旬の生鮮するめいかの入荷量は前月から7%増加し、前年同月から17%増加した。価格は前月の17%安、前年同月の36%安であった。

9月に入り、三陸の沖合底曳網によるするめいかの漁獲が再開されたものの、全般的には低調な漁模様が続くと予想され、生鮮物の東京への入荷量は横ばい、卸売価格は高値・横ばいで推移すると見込まれます。冷凍物は、入荷量は横ばい、卸売価格は高値・横ばいで推移すると見込まれます。

まあじ

まあじは、まき網では山陰沖、九州対馬沖・西沖(五島沖)・東シナ海中南部海域、九州西岸(長崎、鹿児島)等で漁獲された。前月に引き続き、西沖・東シナ海中南部海域ではまあじ主体の漁獲がみられたものの、九州各地のまあじの水揚量は前年を下回った。東シナ海中南部海域の魚体は100~120g(小あじ)主体であった。また、三陸沿岸の定置網による漁獲がみられ、石巻を中心に水揚げされた。

8月上中旬の水揚量は1,300トンで前月から36%減少し、前年同月から39%減少した。価格は338円/kgで、前月の22%高、前年同月の20%高であった。

消費地(東京)におけるまあじの入荷先は、中あじは宮城・千葉・石川・鳥取・佐賀・長崎等、中小あじは宮城・千葉・佐賀等、小・豆あじは三重主体に静岡・高知等からであった。8月上中旬の入荷量は前月から24%減少し、前年同月から15%減少した。価格は前月の20%高、前年同月の5%安であった。

引き続き九州を中心とした水揚げがみられると予想され、東京への入荷量は横ばい、卸売価格は横ばいで推移すると見込まれます。

かつお

かつお近海竿釣り船の主漁場は、東北北部沖、伊豆諸島周辺に形成された。かつお主体の漁獲で、東北北部沖の魚体は2kg前後の小型サイズ主体であった。近海竿釣り船によるかつおの8月の水揚量は、千葉県勝浦は630トンで前年を上回った(前年同月の4.4倍)ものの、気仙沼では1,850トン(前年同月の42%)と、引き続き低調な状況が続いた。

また、かつお・まぐろまき網漁は、東北北部沖、常磐沖、駿河湾沖等に漁場が形成されたものの、かつおの水揚量は64トン(前年同月比1%)と、前年を大きく下回った。

8月上中旬の生鮮かつおの水揚量は2,200トンで前月から31%増加し、前年同月から74%減少した。価格は487円/kgで、前月の10%安、前年同月の2倍であった。

消費地(東京)におけるかつおの入荷は、宮城・長崎主体に千葉・鹿児島等からみられた。8月上中旬の入荷量は前月から15%減少し、前年同月から63%減少した。価格は前月の11%安、前年同月の54%高であった。

今後も東北沖を中心とした漁獲が続くものの、低調に推移すると予想され、東京の入荷量は横ばい、卸売価格は高値・横ばいで推移すると見込まれます。

さんま

今期のさんま棒受網漁は、前年同様、漁船のトン数階層に関係なく8月10日に公海への出漁が解禁になった。初水揚げは前年より1日早い8月15日で、花咲に173トン、16日には厚岸に47トン水揚げされた。その後も、花咲・厚岸合計で1日あたり数十~1,000トンの水揚げが続いた。主漁場は花咲東沖の550~630海里付近および860~890海里付近と、前年と比べて遠くに形成された。魚体は120~150g主体に160~200gのものもみられ、近年では大きかった。

8月中旬までの水揚量は1,000トン、価格は801円/kg、下旬の水揚量は4,000トン、価格は595円/kgであった。公海にさんまの適水温が出現し、そこに群れがまとまったことから、近年では好調な漁模様となった。

消費地(東京)におけるさんまの入荷は、北海道主体に岩手からであった。8月上中旬の入荷量は前月の13倍、前年同月から90%増加した。価格は前月の19%安、前年同月から14%安であった。

今後、漁期が進むにつれて東京への入荷量は増加し、卸売価格は弱含みで推移すると見込まれます。

(水産情報部)

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