まいわしは、まき網では道東沖、八戸沖、常磐沖、高知県沖、山陰沖、九州対馬沖、九州西岸(長崎、鹿児島)等で漁獲された。道東沖では、例年どおりミール向けを主体とするまき網漁が始まり、6月17日に釧路・広尾に合計で1,700トンを初水揚げした。前年よりも操業開始は早かったものの、道東まき網の6月の水揚量は7,400トン(前年比24%)と、漁獲は伸びなかった。また、八戸でも6月下旬にまき網による水揚げが始まった。三陸~常磐では銚子を中心に連日、1日あたり1,000~4,500トンの水揚げが続いた。魚体は45~60g(小中羽)主体であった。山陰沖でもまいわしの漁獲がみられた。一方で、道東沖では6月に入り、まき網漁に先駆けて、まいわし棒受網漁が始まった。また、三陸沿岸では定置網によるまとまった漁獲がみられ、石巻主体に水揚げされたほか、富山湾の定置網でも漁獲がみられた。
6月上中旬の主要港における水揚量(以下「6月上中旬の水揚量」という。)は42,000トンで、前月から8%増加し、前年同月から76%増加した。価格は36円/kgで、前月の28%安、前年同月の45%安であった。
消費地(東京)におけるまいわしの入荷先は、千葉主体に北海道・岩手・宮城・鳥取・長崎等からであった。6月上中旬の入荷量は前月から3%増加し、前年同月から25%減少した。価格は前月の12%高、前年同月の23%高であった。
今後、東京への入荷量は横ばいと見込まれるものの、入梅いわしの時期でもあり、末端のニーズが強くなることから、卸売価格はやや強含みと見込まれます。
さば類は、まき網では静岡~高知県沖、山陰沖、九州対馬沖・西沖(五島沖)・東シナ海中南部、九州西岸(長崎、鹿児島)等で漁獲された。山陰沖ではまさば主体の漁獲がみられ、境港で1日あたり300~900トンの水揚げが続いた。山陰沖の魚体は、140~220g(ローソクサイズ)主体であった。また、前月に引き続き三陸沖では底曳網、三陸沿岸では定置網による漁獲がみられたほか、富山湾では定置網、伊豆諸島ではたもすくい網による漁獲がみられた。
6月上中旬の水揚量は12,000トンで、前月の2.1倍、前年同月から42%減少した。価格は93円/kgで、前月並み、前年同月の7%安であった。
消費地(東京)におけるさば類の入荷先は、まさばは千葉主体に宮城・富山等から、ごまさばは千葉・宮城等からであった。6月上中旬の入荷量は前月から22%増加し、前年同月から8%増加した。価格は前月の17%安、前年同月の7%高であった。
夏場にかけて産地の水揚げは低調に推移するとみられ、今後、東京への入荷量はやや減少し、卸売価格はやや強含みで推移すると見込まれます。
小型いか釣船は、北海道南、北陸、山陰~九州沖で操業した。まとまった漁獲がみられたのは能登半島沖のみで、全般的に低調な漁模様であった。6月に入り、道南(函館、松前)で水揚げが始まったものの、低調なスタートとなった。一方で、太平洋側では、6月に入り三陸沖の底曳網でまとまった漁獲がみられたほか、下北半島沖に漁場が形成され、昼いか釣主体の漁を行った。また、三陸沿岸や富山湾の定置網による漁獲がみられた。
一方、小型いか釣り船(船凍)が能登半島沖~対馬沖で操業し、冷凍するめいかを水揚げした。また、6月中旬には中型いか釣船(船凍)による日本海のするめいか漁が始まり、能登半島沖で操業した。
6月上中旬の生鮮するめいかの水揚量は448トンで前月の15倍、前年同月から42%増加した。価格は463円/kgで、前月の19%安、前年同月の45%安であった。
消費地(東京)におけるするめいかの入荷先は、福井主体に宮城・石川・静岡・長崎等からであった。6月上中旬の生鮮するめいかの入荷量は前月の2.3倍、前年同月から47%増加した。価格は前月、前年同月の17%安であった。
本来なら夏から秋に向けて水揚量が徐々に増加する時期であるが、今後も全般的に低調な漁模様が続くと予想され、生鮮物の東京への入荷量は少なく・横ばい、卸売価格は高値・横ばいで推移すると見込まれます。冷凍物は、入荷量は横ばい、卸売価格は高値・横ばいで推移すると見込まれます。
まあじは、まき網では三重~高知県沖、山陰沖、九州対馬沖・西沖(五島沖)・東シナ海中南部海域、九州西岸(長崎、鹿児島)等で漁獲された。前月に引き続き、東シナ海ではまあじ主体の漁獲がみられ、魚体は80~100g(ゼンゴ)主体であった。また、少量ではあるものの、三陸の底曳網と定置網による漁獲がみられた。
6月上中旬の水揚量は3,400トンで前月から20%減少し、前年同月から39%減少した。価格は226円/kgで、前月の12%安、前年同月の4%高であった。
消費地(東京)におけるまあじの入荷先は、中あじは宮城・千葉・静岡・三重・高知・島根・佐賀・長崎等、中小あじは新潟・佐賀・長崎等、小・豆あじは三重等からであった。6月上中旬の入荷量は前月から20%増加し、前年同月から17%減少した。価格は前月の5%安、前年同月の7%高であった。
今後も九州を中心とした水揚げがみられると予想され、東京への入荷量は横ばい、需要期であることから、卸売価格はやや強含みで推移すると見込まれます。
かつお近海竿釣り船の主漁場は、千葉~茨城県沖等に形成され、前月に引き続き、びんなが主体にかつお混じりの漁獲がみられた。このため、近海竿釣り船によるかつおの水揚量は気仙沼が9トン(前年同月比1%)、千葉県勝浦が970トン(同55%)と、前年を大きく下回った。
また、かつお・まぐろまき網漁は、千葉~茨城県沖や伊豆諸島周辺海域で操業した。びんながやかつお、きはだ等が漁獲され、気仙沼、石巻、小名浜等に水揚げされたが、各地のかつおの水揚量は前年同月を下回った。
6月上中旬の生鮮かつおの水揚量は1,200トンで前月から33%減少し、前年同月から74%減少した。価格は731円/kgで、前月の52%高、前年同月の2.5倍であった。
消費地(東京)におけるかつおの入荷は、千葉主体に伊豆諸島・静岡・三重・愛媛・宮崎・鹿児島等からみられた。6月上中旬の入荷量は前月から36%減少し、前年同月から46%減少した。価格は前月の24%高、前年同月の43%高であった。
今後、三陸~常磐沖では、低調ながらも徐々にかつお主体の漁獲になると予想され、東京の入荷量はやや増加し、卸売価格はやや弱含むと見込まれます。
(水産情報部)