まいわしは、まき網では八戸沖、三陸沖、常磐沖、山陰沖、九州西岸(長崎、鹿児島)等で漁獲された。八戸~常磐沖では、さば類主体にまいわしの漁獲がみられ、常磐沖の魚体は55~85g主体であった。また、道東沖では10月末のまき網漁の終漁後もたもすくい網漁が行われ、三陸では定置網によるまとまった漁獲がみられた。
11月上中旬の主要港における水揚量(以下「11月上中旬の水揚量」という。)は3,500トンで、道東沖のまき網漁が終了したことから、前月から91%減少し、前年同月の2.2倍であった。価格は93円/kgで、前月の58%高、前年同月の22%安であった。
消費地(東京)におけるまいわしの入荷先は、北海道主体に岩手・宮城・千葉等からであった。11月上中旬の入荷量は前月から16%増加し、前年同月から16%減少した。価格は前月の9%高、前年同月の24%安であった。
今後も三陸~常磐沖を中心とした漁獲がみられると予想され、東京への入荷量は横ばい、卸売価格は横ばいと見込まれます。
さば類は、まき網では八戸沖、三陸沖、常磐沖、静岡~高知県沖、山陰沖、九州対馬沖・西沖(五島沖)、九州西岸(長崎、鹿児島)等で漁獲された。八戸沖~三陸沖でまとまった漁獲がみられ、八戸では1日あたり100~1,300トン、石巻では60~730トンの水揚げが続いた。11月下旬の三陸沖のまさばの魚体は300g台主体であった。11月下旬には常磐沖でもまとまって漁獲された。また、対馬沖でもさば類主体に漁獲され、魚体は上中旬が400g前後主体、下旬は180~200gおよび400~500g台主体であった。一方、前月に引き続き三陸沖では底曳網、三陸沿岸では定置網によるまとまった漁獲がみられたほか、富山湾では定置網、伊豆諸島ではたもすくい網による漁獲がみられた。
11月上中旬の水揚量は13,600トンで、前月の2.2倍、前年同月から11%増加した。価格は172円/kgで、前月の35%高、前年同月並みであった。
消費地(東京)におけるさば類の入荷先は、まさばは宮城主体に岩手・富山・三重等から、ごまさばは岩手主体に青森・宮城・三重等からであった。11月上中旬の入荷量は前月並み、前年同月から5%減少した。価格は前月の4%高、前年同月の3%高であった。
今後も三陸~常磐沖、東シナ海中心の漁獲が続くとみられ、東京への入荷量はやや増加し、卸売価格はやや弱含みで推移すると見込まれます。
小型いか釣船の漁場は、日本海側では北海道北~道南、山形、北陸、山陰、九州北部、太平洋側では北海道東~青森県~岩手県沖に形成されたものの、全般的に極めて低調であった。また、北海道(釧路)や三陸各地では底曳網による漁獲がみられ、八戸や宮古、石巻では比較的まとまって水揚げされたほか、前月に引き続き、少量ではあるものの三陸の定置網による漁獲もみられた。
一方、中型いか釣船(船凍)による日本海のするめいか漁は、11月も大和堆周辺に漁場が形成されたものの、低調な漁模様であった。
11月上中旬の生鮮するめいかの水揚量は730トンで前月から63%減少し、前年同月から7%減少した。価格は1,078円/kgで、前月の48%高、前年同月の6%安であった。
消費地(東京)におけるするめいかの入荷先は、北海道主体に青森・宮城・石川・鳥取等からであった。11月上中旬の生鮮するめいかの入荷量は前月から3%増加し、前年同月から44%増加した。価格は前月の9%安、前年同月の16%安であった。
今後も全国的に低調な水揚げが続くと予想され、生鮮物の東京への入荷量は少なく・横ばい、卸売価格は高値・横ばいで推移すると見込まれます。冷凍物は、入荷量は少なく・横ばい、卸売価格は高値・横ばいで推移すると見込まれます。
まあじは、まき網では常磐沖、三重~高知県沖、山陰沖、九州対馬沖・西沖(五島沖)、九州西岸(長崎・鹿児島)等で漁獲された。山陰沖では、11月下旬はまあじ・まさば主体に漁獲され、境港に水揚げされたまあじの魚体は120~140g主体であった。また、前月に引き続き、三陸の底曳網と定置網による漁獲がみられた。
11月上中旬の水揚量は1,900トンで前月から12%減少し、前年同月から17%減少した。価格は246円/kgで、前月の6%安、前年同月の18%安であった。
消費地(東京)におけるまあじの入荷先は、中あじは鳥取・長崎主体に宮城・島根・山口等、中小あじは宮城・長崎等、小・豆あじは三重主体に岩手等からであった。11月上中旬の入荷量は前月から15%減少し、前年同月から8%減少した。価格は前月の10%安、前年同月の16%安であった。
引き続き山陰や九州を中心に水揚げされると予想され、東京への入荷量は横ばい、卸売価格も横ばいで推移すると見込まれます。
かつお近海竿釣船の漁場は、東北北部の沖合、金華山沖に形成された。11月下旬にはほとんどの船が三陸沖の漁を切り上げたが、前年よりも長く続いたこともあり、11月の気仙沼の水揚量は前年同期比10倍の1,840トンであった。
一方、かつお・まぐろまき網の漁場は、襟裳岬沖、気仙沼沖に形成され、くろまぐろ主体の漁獲がみられた。
11月上中旬の生鮮かつおの水揚量は1,700トンで前月から37%減少し、前年同月の2.9倍であった。価格は425円/kgで、前月の10%高、前年同月の41%安であった。
消費地(東京)におけるかつおの入荷は、宮城主体に千葉・神奈川・長崎・鹿児島等からであった。11月上中旬の入荷量は前月から50%減少し、前年同月から76%増加した。価格は前月の11%高、前年同月の15%安であった。
11月下旬には三陸沖のかつお近海竿釣漁がほぼ終漁したことから、今後、東京への入荷量は減少し、卸売価格は強含みで推移すると見込まれます。
さんま棒受網漁の漁場は道東沖のほか、11月に入り、三陸沿岸~沖合にも形成された。花咲、大船渡、女川を中心に厚岸、釧路、宮古、釜石、気仙沼、小名浜、銚子等に広く水揚げされ、上中旬には1日あたり1,000トンを超える水揚げが4日間みられた。魚体は80~120g主体であった。
11月上中旬の水揚量は8,700トンで前月から8%減少し、前年同月から42%増加した。価格は379円/kgで、前月の23%安、前年同月の48%高であった。
消費地(東京)におけるさんまの入荷は、北海道・岩手・宮城からであった。11月上中旬の入荷量は前月から24%減少し、前年同月の3.1倍であった。価格は前月の21%安、前年同月の40%安であった。一方、冷凍さんまの11月上中旬の入荷量は、前月から69%減少し、前年同月から36%減少した。
12月に入り、さんま棒受網漁は全船切り上げとなった。今後、東京への入荷量は減少し、需要が低下することから、卸売価格はやや弱含みで推移すると見込まれます。
(水産情報部)