まいわしは、まき網では道東沖、常磐沖、山陰沖、九州西岸(長崎、鹿児島)、九州西沖等で漁獲された。道東沖のミール向けを主体とするまき網漁は、1日あたり800~5,600トンの漁獲がみられ、釧路・広尾中心に水揚げしたものの、水揚量は前年同月の60%程度にとどまった。また、山陰沖では、まいわし主体に漁獲され、10月中旬の魚体は20~30g主体であった。一方で、道東沖ではまいわし棒受網・たもすくい網漁が行われ、花咲・厚岸・浜中に水揚げされた。また、三陸では定置網による漁獲もみられた。
10月上中旬の主要港における水揚量(以下「10月上中旬の水揚量」という。)は40,500トンで、前月から14%減少し、前年同月から26%減少した。価格は59円/kgで、前月の8%安、前年同月の27%安であった。
消費地(東京)におけるまいわしの入荷先は、北海道主体に千葉・長崎等からであった。10月上中旬の入荷量は前月から23%減少し、前年同月から47%減少した。価格は前月並み、前年同月の17%高であった。
10月末で道東沖のまき網漁が終漁し、産地の水揚量が減少することから、東京への入荷量は減少し、卸売価格は強含みと見込まれます。
さば類は、まき網では八戸沖、三陸沖、常磐沖、静岡~高知県沖、山陰沖、九州対馬沖・西沖(五島沖)、九州西岸(長崎、鹿児島)等で漁獲された。まき網によるさば類の漁獲は九州が中心で、対馬沖・西沖ともにまさば主体に漁獲された。10月下旬の対馬沖の魚体は300g前後および600g台主体であった。また、八戸沖、三陸沖では10月末にさば類のまとまった漁獲がみられ、石巻では前年より2ヶ月程早く金華さばの到来が宣言された。一方、前月に引き続き三陸沖では底曳網、三陸沿岸では定置網による漁獲がみられたほか、富山湾では定置網、伊豆諸島ではたもすくい網による漁獲がみられた。
10月上中旬の水揚量は6,200トンで、前月並み、前年同月から34%減少した。価格は128円/kgで、前月の6%高、前年同月の10%安であった。
消費地(東京)におけるさば類の入荷先は、まさばは岩手・宮城・三重主体に富山・北海道等から、ごまさばは岩手・三重主体に宮城等からであった。10月上中旬の入荷量は前月並み、前年同月から6%増加した。価格は前月並み、前年同月の4%安であった。
今後、水温の低下に伴い、三陸~常磐沖の漁獲が上向くと予想され、東京への入荷量は増加し、卸売価格はやや弱含みで推移すると見込まれます。
小型いか釣船の漁場は、日本海側では北海道西~道南、北陸、山陰、九州北部、太平洋側では北海道(根室・室蘭)、岩手県沖に形成されたものの、全般的に低調であった。また、北海道(釧路・室蘭)や三陸各地では底曳網による比較的まとまった漁獲がみられたほか、前月に引き続き、少量ではあるものの三陸の定置網による漁獲もみられた。
一方、中型いか釣船(船凍)による日本海のするめいか漁は、10月も大和堆周辺に漁場が形成され、するめいかを漁獲したものの、漁模様は低調であった。
10月上中旬の生鮮するめいかの水揚量は2,000トンで前月から53%減少し、前年同月から29%増加した。価格は727円/kgで、前月の11%安、前年同月の31%安であった。
消費地(東京)におけるするめいかの入荷先は、鳥取主体に北海道・宮城・石川・福井・山口等からであった。10月上中旬の生鮮するめいかの入荷量は前月から3%増加し、前年同月から16%減少した。価格は前月の9%安、前年同月の3%安であった。
今後も、全国的に低調な水揚げが続くと予想され、生鮮物の東京への入荷量はやや減少し、卸売価格はやや強含みで推移すると見込まれます。冷凍物は、入荷量は少なく・横ばい、卸売価格は高値・横ばいで推移すると見込まれます。
まあじは、まき網では常磐沖、三重~高知県沖、山陰沖、九州対馬沖・西沖(五島沖)・東シナ海中南部、九州西岸(長崎・鹿児島)等で漁獲された。東シナ海では、まさば主体にまあじの漁獲がみられ、10月上中旬の西沖の魚体は120~140g主体であった。また、前月に引き続き、三陸の底曳網と定置網による漁獲がみられた。
10月上中旬の水揚量は2,200トンで前月から22%減少し、前年同月から7%減少した。価格は261円/kgで、前月の4%安、前年同月の17%安であった。
消費地(東京)におけるまあじの入荷先は、中あじは宮城・鳥取・島根・愛媛・佐賀等、中小あじは宮城・千葉・愛媛等、小・豆あじは岩手・静岡・三重等からであった。10月上中旬の入荷量は前月から10%減少し、前年同月から25%増加した。価格は前月の4%高、前年同月の11%安であった。
今後も山陰や九州を中心とした水揚げが続くとみられ、東京への入荷量は横ばい、卸売価格も横ばいで推移すると見込まれます。
かつお近海竿釣船の漁場は、10月上旬は、青森県沖、岩手県沖、三陸南部沖、中~下旬は三陸沖のほか、東北のはるか沖合にも形成された。漁期の終盤ではあるものの、気仙沼では1日あたり100~280トンの水揚げが続き、例年と比べて好調に推移した。気仙沼で水揚げされたかつおの魚体は2~3kg主体で、脂ののった戻りがつおがみられた。
かつお・まぐろまき網の漁場は、襟裳岬沖、八戸沖に形成され、くろまぐろ主体の漁獲がみられた。
10月上中旬の生鮮かつおの水揚量は2,800トンで前月から53%減少し、前年同月から20%減少した。価格は386円/kgで、前月の39%高、前年同月の3%安であった。
消費地(東京)におけるかつおの入荷は、宮城主体に三重・愛媛・高知等からであった。10月上中旬の入荷量は前月から20%減少し、前年同月並みであった。価格は前月の9%安、前年同月の46%高であった。
水揚げの主体である三陸沖のかつお近海竿釣漁の終漁が近いことから、東京への入荷量は減少し、卸売価格は強含みで推移すると見込まれます。
さんま棒受網漁は、10月上旬~中旬前半は道東の公海域に広く漁場が形成され、中旬後半になると魚群は南下した。花咲を中心に厚岸、釧路、宮古、釜石、大船渡、気仙沼、女川に水揚げされ、中~下旬には、1日あたり1,000~2,000トンの水揚げが4日間みられた。魚体は80~120g主体であった。
10月上中旬の水揚量は9,500トンで前月の2.1倍、前年同月の1.9倍であった。価格は494円/kgで、前月の24%安、前年同月の6%高であった。
消費地(東京)におけるさんまの入荷は、北海道主体に岩手・宮城からであった。10月上中旬の入荷量は前月から49%増加し、前年同月から58%増加した。価格は前月の30%安、前年同月の27%安であった。一方、冷凍さんまの10月上中旬の入荷量は、生鮮さんまの増加に伴い、前月から57%減少し、前年同月から63%減少した。
引き続き道東・三陸で水揚げは続くものの、水揚量は徐々に減少するとみられ、東京への入荷量はやや減少し、需要が低下することから、卸売価格はやや弱含みで推移すると見込まれます。
(水産情報部)