10月の全国主要港での生鮮マイワシの水揚げ(速報値)は前年同期比39%減の5万5210トンとなった。7~9月は前年を上回っていた水揚げが、盛漁期である10月に伸び悩んだ。北方四島含むロシアが主張する排他的経済水域の漁獲は前年より好調との情報がある。原因として、三陸―道東の海水温が高く分布が北上したことが考えられる。
同種の太平洋系群は夏に北方で餌を採り、秋から南下、冬~春に西日本沿岸などで産卵する。今年も例年通り10月の主漁場は道東ながら、釧路が40%減(3万736トン)、広尾が45%減(1万4765トン)にとどまった。同海域は近年、10月下旬に巻網が漁獲を伸ばしていたが、今年は高水温でマイワシの南下が遅れたと考えられ、伸び悩んだ。
今後は例年通り10月末で道東巻網は終了。南下の遅れで、三陸でも漁場形成が遅れるのではないか。
今年はロシアの漁獲が5月時点で始まっており、北上は早まった。ロシア近海の漁期は伸びているもよう。ロシア中国を含む漁獲は昨年持続可能な水準の約2倍に達したと、国は資源評価している。
(みなと新聞取材)